日本バイオベンチャー大賞

第7回 日本バイオベンチャー大賞 贈賞式

千葉のプレシジョンなどに贈賞

高円宮妃久子さまをお迎えし行われた贈賞式。
プレシジョン・システム・サイエンスの
田島秀二社長(左)に大賞が贈られた

 優れたバイオベンチャー企業を表彰する「第7回日本バイオベンチャー大賞」(フジサンケイビジネスアイ主催)の贈賞式が29日、高円宮妃久子さまをお迎えし、奈良県生駒市の奈良先端科学技術大学院大学で開かれた。

 式典では、遺伝子やタンパク質検査などの体外診断に使う自動化装置やシステムを開発し、グランプリにあたる大賞に輝いたプレシジョン・システム・サイエンス(千葉県松戸市)や、がんを狙い撃ちする免疫療法で「経済産業大臣賞」に選ばれたテラ(東京都千代田区)など、受賞した6社の代表者にそれぞれ賞状が贈られた。

 受賞者を代表し、プレシジョン・システム・サイエンスの田島秀二社長が「再生医療や食品など、バイオテクノロジーはあらゆるものに使われる技術だが、本格的な臨床研究や実用化はこれから。日本のバイオベンチャーが欧米に負けないよう、全力を尽くして人間の健康と幸福に貢献していきたい」とあいさつした。

高円宮妃久子さまのお言葉

 昨年3月11日に発生した東日本大震災では多くの方が被災されました。あれからまもなく1年を迎えようとしておりますが、いまなお厳しい生活を余儀なくされている方が多くいらっしゃいます。心よりお見舞い申し上げ、被災地の復旧、復興が着実に進むこと、そして被災者の方々が一日でも早く平穏な日常を取り戻されることを心より願っております。

 本日は「第7回日本バイオベンチャー大賞」の贈賞式が盛大に開催され、皆さまとご一緒できますことを大変うれしく思います。受賞された皆さまおめでとうございます。独創的な技術開発や新しいビジネスモデルに果敢にチャレンジし、大きな成果を出されたことに対してのご受賞、心よりお祝い申し上げます。

 バイオテクノロジーは医療から健康、食糧、環境、産業といった幅広い分野のさまざまな課題を解決に導く人類の期待を集めた技術です。21世紀は生命科学の世紀といわれるように、バイオテクノロジーが大きく進歩して人々の暮らしを豊かにし、産業として発展するだけではなく環境保全や宇宙開発の分野での貢献にも大きな期待が寄せられております。

 高齢化社会が到来する一方で、これまでなかった疾病や難病も生まれています。医療に対するニーズはますます高度化、多様化しています。遺伝子レベルの治療が必要になるなど、バイオテクノロジーは人々のより豊かで安心できる暮らしになくてはならない技術です。

 昨年の地震や大津波、さらに台風や豪雨がもたらした水害などによるけがの後遺症や心の病に苦しんでいる方も多くいらっしゃいますが、その方々のご回復や置かれる状況の改善などにバイオテクノロジーの新しい技術が生かされることになれば意義深いことと思います。

 バイオテクノロジーは日進月歩で発展していますが、特にクローン技術や遺伝子組み換えにおいては倫理的な側面や、自然環境との調和など多くの議論がいまだ必要と考えております。

 受賞者はじめ、バイオテクノロジーの研究開発にかかわる大学や企業、研究機関、さらにはそれを支援する関係者の皆さまがさらに研鑽(けんさん)を積み、わが国のバイオ産業、バイオ研究が世界の多くの人々の健康とより豊かな暮らしに貢献していくことを期待しております。

 最後に、この度受賞された皆さまをはじめバイオ産業に従事される方、大学や研究機関で研究されている方がバイオテクノロジーの持つ力と大切な使命を担っておられることを常に念頭に置いて日々の研鑽を積まれ、今後ますますご活躍いただきますよう祈念して式典に寄せる言葉といたします。おめでとうございました。

懇親パーティー なごやかにご歓談

高円宮妃久子さまとともに記念撮影に納まる受賞者ら

29日に開かれた「第7回日本バイオベンチャー大賞」の贈賞式へのご臨席のため、会場に到着された高円宮妃久子さまは、奈良先端科学技術大学院大学(奈良県生駒市)の横田明穂教授や島本功教授らの案内で同大学のバイオサイエンス研究科を視察された。

 この日紹介されたのは、灼熱と乾燥の厳しい環境でも成長する野生種スイカや、開花時期を早めることができる花成ホルモンの研究。研究科には野生種スイカに多く含まれるアミノ酸の一種を使って商品化した美容液や、花成ホルモンの遺伝子を導入したジャガイモなどが展示され、久子さまは「花を咲かせるホルモンの量はどれくらい必要ですか」と質問されるなど興味深くごらんになった。

 また、懇親パーティーでは、奥田喜則奈良県副知事が「受賞を契機に独自の技術を生かし、日本の産業振興に貢献していただきたい」と祝辞を述べた。受賞企業を紹介するパネルなどが展示されるなか、久子さまは各企業の代表者らと歓談された。

第7回 日本バイオベンチャー大賞受賞企業

日本バイオベンチャー大賞 プレシジョン・システム・サイエンス株式会社
(千葉県松戸市)
遺伝子・タンパク質検査などの体外診断用に自動化装置・システムを製造販売
経済産業大臣賞 テラ株式会社
(東京都千代田区)
がんを狙い撃ちする「樹状細胞ワクチン療法」の技術・ノウハウを提供
文部科学大臣賞 株式会社スリー・ディー・マトリックス
(東京都千代田区)
自己組織化ペプチド技術を使用した外科用止血材など医療製品を開発
バイオインダストリー協会会長賞 株式会社リプロセル
(横浜市港北区)
胚性幹細胞(ES細胞)・人工多能性幹細胞(iPS細胞)用の研究試薬や創薬に使う培養細胞などを販売
フジサンケイビジネスアイ賞 オーストリッチファーマ株式会社
(京都府精華町)
ダチョウ抗体作製技術を活用し、インフルエンザ防御用マスクなどを商品化
ナント種苗株式会社
(奈良県橿原市)
農産種苗の品種開発や生産販売を手がけ、近年はアブラナ科野菜の開発で成果

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