受賞者紹介

受賞者紹介

第34回地球環境大賞 受賞者

地球環境大賞

戸田建設株式会社

長崎県五島市沖で国内初の浮体式ウィンドファームを推進

経済産業大臣賞

セイコーエプソン株式会社

利用広がる乾式オフィス製紙機「PaperLab」
~ドライファイバーテクノロジーで使用済みコピー用紙をその場で再生~

環境大臣賞

東京都下水道サービス株式会社/日本ヒューム株式会社

低炭素型高機能コンクリート「e-CON」を開発・実用化
~CO2を80%削減/産業副産物を90%使用~

文部科学大臣賞

福島県立小名浜海星高等学校

生分解性ルアーの作成
~海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて~

国土交通大臣賞

旭化成ホームズ株式会社

“生涯CO2排出量実質ゼロ”を築60年で目指す環境先進住宅「earth-tect」

農林水産大臣賞

福岡県築上町/築上町液肥利用者協議会/国立大学法人九州大学大学院農学研究院
/三菱ケミカルアクア・ソリューションズ株式会社

築上町の「挑戦する農業」
~資源循環型農業に液肥で挑んで32年~

総務大臣賞

株式会社NTTドコモ

眠っているケータイを未来につなぐ「ドコモ ケータイリサイクル」

日本経済団体連合会会長賞

豊田通商株式会社

製造、販売、地域社会を廃漁網がつなぐ持続可能な繊維リサイクル「NetPlus」の挑戦

日本商工会議所会頭賞

株式会社キミカ

創業以来一貫して「漂着海藻」からアルギン酸を抽出

フジサンケイグループ賞

花王株式会社/太平洋マテリアル株式会社

環境配慮型吹付けコンクリート薬剤「ビスコショット」の開発

奨励賞

積水ハウス株式会社

「積水ハウスオーナーでんき」~再エネ共創による脱炭素型社会への移行の実現~

奨励賞

北海道真狩高等学校

持続可能な農業生産を目指して!
~北海道版リジェネラティブ農業の実践~

第33回地球環境大賞 受賞内容

大賞

戸田建設株式会社

長崎県五島市沖で国内初の浮体式ウィンドファームを推進

水深が深い周辺海域が多い日本では、特に浮体式洋上風力発電のポテンシャルが高い。国際エネルギー機関(IEA)の試算では、沿岸300km以内・水深60m以上の海域に浮体式洋上風力発電施設を設置したと仮定すると、日本の一次エネルギー消費量の約1.8倍の9031TWhのポテンシャルがある。

同社は2007年の京都大学との共同研究に始まり、2013年からは長崎県の椛島沖や崎山沖などで国内初の2MWの浮体式洋上風力発電設備による実証事業運転を行い、2016年から商用運転を開始している。

2021年、同県の五島市沖海域での国内初の浮体式ウィンドファームの事業者に同社を含む6社の合同会社が採択され、2026年1月に運転開始を予定している。

同社が開発した鋼とコンクリートによるハイブリッドスパー型浮体が採用され、高安定・低コストで、地元資材や人材を活用できる生産システムを実現した。

発電規模は2.1MW×8基で、五島市福江島内の電気消費量のうち、再生可能エネルギー使用率は約56%から約80%まで増加する見込みである。

経済産業大臣賞

セイコーエプソン株式会社

利用広がる乾式オフィス製紙機「PaperLab」
~ドライファイバーテクノロジーで使用済みコピー用紙をその場で再生~

同社が開発した乾式オフィス製紙機「PaperLab」は、同社が独自開発した「ドライファイバーテクノロジー(DFT)」を用いて、オフィスで発生する使用済みコピー用紙を、その場で、水をほとんど使わずに、新たな紙へと再生する革新的な製品である。オフィス内で水平リサイクルができるため、ペーパー削減、機密情報保持、回収、輸送、リサイクル、焼却などの作業、水資源や新規木材資源の利用―などへの貢献が可能になる。

同機は2016年に製品発表をして以来、50余りの一般企業や自治体およびエプソングループで導入されており、その累計製紙量は約780t(1億枚超)に及んでいる。

オフィスだけでなく地域でも活用できるため、様々な形で利用されている。例えば、同じビル内の企業間で、同じ市内の市役所や小学校間で、回収・再生・届ける取り組み作りである。環境負荷を下げながら、共感や協働にもつながっている。

またDFTは、解繊した繊維長を自在にできるため、衣料・産業資材から樹脂材料・成形材料などの用途でも期待されている技術となっている。

環境大臣賞

東京都下水道サービス株式会社/日本ヒューム株式会社

低炭素型高機能コンクリート「e-CON」を開発・実用化
~CO2を80%削減/産業副産物を90%使用~

両社は、安全で持続可能な下水道インフラの実現を目指して、陶管の耐硫酸性、ヒューム管の剛性、塩ビ管の流下性能に加えて、環境性能も備えた「第4の下水道管」のため、製造過程で大量のCO2を排出するセメントを使用していない次世代型コンクリート「e-CON」を開発した。

セメントの場合、1tを製造する際に約770kgものCO2が発生するが、e-CONは産業副産物(高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフューム)を主原料(占有率は90%)としており、e-CON製品は従来のセメントコンクリート製品に比べ約80%のCO2が削減される。

2025年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故では、下水道管の硫化水素による腐食が大きな要因の一つとされた。耐硫酸性でe-CONは、セメントコンクリートに比べて10倍以上有する。

また素材コストでは、2~3割程度増加するが、構造物の長寿命化に寄与するため、長期LCCの試算では優位になる。環境性と経済性を兼ね備えた次世代型コンクリートである。

文部科学大臣賞

福島県立小名浜海星高等学校

生分解性ルアーの作成~海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて~

同校海洋工学科の「海洋環境チーム」は海洋環境をテーマに設定し、学習を進めている。

日本でのプラスチック製ルアーのロスト数は同校推定で年間約405万個にのぼる。このため海洋環境への負荷を軽減したいと考え、海洋生分解性プラスチックを用いたルアーの作成に挑んだ。

作成には、プラスチックを高温で溶かして型に流し込む射出成形技法を用い、難度の高い金型ではなく樹脂型を使用した。PHBHは過去の分解実験で海水中でも分解することなどを認識しており、当初はPHBH製スプーンなどを細断し利用した。

次に、生分解性プラスチック量を減らすため、福島県産のホッキの貝殻や養殖時に出るエビの抜け殻などの未利用資源を混ぜることを検討。企業の協力もあり、「貝殻50%」と「貝殻24%・エビ殻6%」の2種類の射出成型用ペレットを作成し利用した。成形には苦労したが、2種類のルアーを完成させ、重量測定と嗅覚官能試験、浸漬実験を実施した。浸漬実験では、2週間後にはバイオフィルム(微生物集合体)が形成され、生分解が進んでいることも確認した。

国土交通大臣賞

旭化成ホームズ株式会社

“生涯CO2排出量実質ゼロ”を築60年で目指す環境先進住宅「earth-tect」

同社は2025年9月、国内大手ハウスメーカーで初めて、戸建住宅で“生涯CO2排出量実質ゼロ”を築60年で目指す環境先進住宅「earth-tect」の販売を開始した。これまで開発・普及推進を続けてきたZEH・ZEH-M基準のGX志向型住宅は、居住期間中のエネルギー収支ゼロを目指すものだったが、建設・改修・廃棄時までのライフサイクル全体を含んでいる。

主な特徴は次のとおり。同社独自手法による同社製品由来の環境価値(非化石証書)を活用し、建設時などで排出されるCO2にはFIT非化石証書を充当。居住期間中は同社の電力事業へーベル電気を通じ、実質的には再生可能エネルギーである電力を20年間使用することでCO2を削減する。また建物は高耐久・高耐震構造によって、耐用年数が60年以上の長寿命化を実現。断熱等級6の高断熱性能に加え、太陽光発電設備、大容量蓄電池、省エネ設備を搭載し、GX志向型住宅相当の高効率・省エネ性能を装備させた。

結果、重鉄の邸宅(2階建て、40坪)を新築して60年居住した場合の試算で、CO2の実質削減量は、居住中で194t、建設・修繕・解体等で142tが実質削減され、計336tとなる。

同社は、年間200棟の販売を目標としており、年間約6万7000tの実質削減を見込んでいる。

農林水産大臣賞

福岡県築上町/築上町液肥利用者協議会/国立大学法人九州大学大学院農学研究院/
三菱ケミカルアクア・ソリューションズ株式会社

築上町の「挑戦する農業」~資源循環型農業に液肥で挑んで32年~

同町は、旧椎田町だった1994年に、液肥による「資源循環型農業」の挑戦を開始し、32年目を迎えた今も継続している。

資源循環型農業とはSDGs的な取組みで、し尿をリサイクルし、液肥として農業に活用する手法である。液肥は従来型のし尿処理と比較して、CO2を大幅に削減する効果がある。

同町では、同町の全てのし尿を使って発酵させた液肥を農業用肥料として製造・販売し、町内で自給している。し尿を循環利用して、液肥を資源化しているのは全国的に珍しい。2020年度には、全国初の新技術を用いた液肥濃縮施設を建設。2022年度には、産学官連携で肥料成分の約20倍濃縮を達成した。

また資源循環型農業の普及促進と理解を深めるため、築上町内の小中学生を対象に資源循環授業を開始し、出前授業や液肥製造施設見学などを行っている。

2024年度には、液肥濃縮に関して、産学官による共同出願で同町初となる特許を2件取得した。

同町は2022年10月に「ゼロカーボンシティ宣言」を行い、2050年までのCO2実質排出ゼロを目指して、今なお挑戦を続けている。

総務大臣賞

株式会社NTTドコモ

眠っているケータイを未来につなぐ「ドコモ ケータイリサイクル」

同社は、1998年から携帯電話のリサイクル事業を25年以上続け、累計1億3000万台以上に達している。

全国拠点のショップ(2852拠点)やWEBシステムで受け付けており、通信キャリアで唯一、環境省広域認定を取得。法個人を問わず適切に回収(無償)・運搬・処理を行い、処理施設のセキュリティ管理を徹底している。法人顧客は回収から処理の過程をWEB上でほぼリアルタイムで確認でき、処理完了の証明が発行される。

油化処理残渣や粉砕した部品から貴重金属やレアメタルの回収、状態のよいディスプレイのリユース、SIMカード枠のプラスチック素材のリサイクルによるスマホケース「エコハードケース」の製造・販売など、資源循環に貢献している。

この他、リサイクル工程のうち「分解」工程を子どもに体験させるドコモサステナスクール「スマホ分解チャレンジ!」など様々な活動を続けている。

日本経済団体連合会会長賞

豊田通商株式会社

製造、販売、地域社会を廃漁網がつなぐ持続可能な繊維リサイクル「NetPlus」の挑戦

漁業界では、産業廃棄物処理費用の負担、再資源化に関する知識不足、回収ルートの未整備を要因として、廃漁網の海洋や漁港での不法投棄が発生している。特に漁港に堆積した網は自然災害時に海へ流出する恐れがある。

これらにより、漁業地域における海岸コミュニティの汚染、マイクロプラスチックによる人体被害や「ゴーストネット*1」による生態系への悪影響を招くため、大規模かつ持続的な廃漁網の再資源化プロセスの確立が急務となっている。

豊田通商(以下、当社)は繊維のリーディング CE プロバイダーとして、国内廃漁網リサイクル事業を構想し、廃業網 100%の再生ナイロン素材ブランド「NetPlus®」を保有・運営しているBureo 社と連携し、千葉県で廃漁網回収事業を展開するEllange 社を立ち上げ当初から経営支援している。Ellange社が回収した漁網は Bureo社が培ったノウハウにより、厳格なトレーサビリティ管理のもと国内で洗浄・選別後、国内外でリサイクルされ、質の高い「NetPlus®」ブランドの100%再生ナイロン素材として販売する事を目指している。

Ellange社は、数年かけて地道に築き上げた現地企業や漁業関係者との信頼関係を土台に回収ルート確立、千葉県外房エリアにて廃漁網の加工設備を整え、現在は当社と共に販売先を確保すべく協働している。

本事業は「ゴーストネット」や地域コミュニティの汚染に繋がる漁網放棄を未然に防ぐことで回収された廃漁網を漁業国日本で、パートナーらとの共創で初めて実現する資源循環に挑む取組である。

*1 海中に遺棄・逸失された漁網が所有者不在のまま漂流・沈降し、魚介類や海鳥・海獣を絡め取ってしまう状態(またはその漁網)

日本商工会議所会頭賞

株式会社キミカ

創業以来一貫して「漂着海藻」からアルギン酸を抽出

日本で初めて天然多糖類「アルギン酸」の工業的生産に成功した同社は、海洋資源を犠牲にすることのない原料の調達を続け、チリ漁民の貧困解消も達成した。

同社は現在、アルギン酸の国内シェアは90%を超え、食と医薬の分野では世界トップシェアにある。

1941年の創業以降、原料となる海藻は「漂着海藻」を漁民から直接買い取っており、創業後40年余りは国内で、1980年代以降はチリの漁民から調達し、昨年1年間では乾燥体重量で1万2000t、20億円に相当する。

気候変動による海藻不漁や投機的な海藻の買い占めなどで、海藻不足に幾度も直面した経験から同社は、海藻資源の保全こそが事業継続の最重要課題だと認識し、持続可能な海藻調達手段の確立を目指してきた。漂着海藻として岩場から剥がれ落ちた後、そこには再び大きな海藻が育つというサイクルが繰り返されるが、大型船で海藻を人為的に刈り取ると、岩場に根が残り、それが腐るまで、新たな海藻は生えない。同社が漂着海藻を利用するのは、環境を犠牲にすることなく海洋資源を利用する優れた方法である。

チリでは1万人を超える漁民が海藻収穫で生計を立てており、同社が安定的に海藻を調達し続けたことで、生活水準が著しく向上した。同社はアルギン酸抽出後に残るカス(海藻残渣)を肥料としても活用している。

フジサンケイグループ賞

花王株式会社/太平洋マテリアル株式会社

環境配慮型吹付けコンクリート薬剤「ビスコショット」の開発

両社は2024年11月、環境配慮型吹付コンクリート薬剤「ビスコショット」を上市した。

従来、トンネル工事においては、掘削壁面の崩落を避けるために吹付コンクリート工法を施工する際に、コンクリートがうまく定着せず、使用したコンクリートの約30%が流れ落ちて廃棄されるという大きなロスが生じていた。同薬剤は吹付時のロスを従来比で最大80%削減し、コンクリート使用量を24%削減できる。国内の全トンネル工事に適用すると想定した場合、概算でCO2排出量を年間13万t削減できる。

また、薬剤コストを加味しても高い経済性を実現でき、工期短縮に加え、労務費や施工関連コストの低減も実現できる。

同薬剤は、花王の特殊増粘技術と太平洋マテリアルの工法化技術を融合して、ポンプで圧送中は低粘度で、着壁の際に瞬時に高粘度へと切り替わる「コンクリート粘性のスイッチング」という新発想で開発された粘着技術を実装化している。

既存設備でそのまま使用でき、熟練したノズル操作技能に頼らずに安定した付着・施工も可能であり、土木業界が抱える深刻な労働力・熟練工不足に対する課題解決の一助ともなる。

奨励賞

積水ハウス株式会社

「積水ハウスオーナーでんき」~再エネ共創による脱炭素型社会への移行の実現~

同社は、早くから太陽光発電システム搭載住宅などの普及を進めてきたが、卒FITを迎える顧客も増えている。

2017年のRE100へ同社が加盟した時点で、同社が設置してきた全システムによる年間発電量は700GWh以上あり、同社グループ全体の年間消費電力量120GWhの5倍以上に相当していた。このため、卒FITを迎えた顧客の2〜3割から余剰の再エネ電力を調達できれば、2040年頃にRE100を達成できると試算した。

同社は2019年、卒FIT顧客から余剰の再エネ電力を(業界最高水準の11円/kWh で)買い取り、同社グループで活用する「積水ハウスオーナーでんき」を開始した。同社グループ全体で節電が進んでおり、卒FITを迎えた9万人の顧客の約5割から調達できているため、RE100を早期に達成できる見込みである。

2024年度の同社グループ全体の事業用電力の再エネ比率は58.3%で、年間2万7568t-CO2削減の効果があった。

卒FIT後の余剰電力買い取りがあるため、同社の新築戸建住宅におけるZEH比率も2020年以降90%を越えており、2024年度は96%となっている。

奨励賞

北海道真狩高等学校

持続可能な農業生産を目指して!~北海道版リジェネラティブ農業の実践~

同校では現在、化学的に合成された肥料や農薬を一切使用しない「リジェネラティブ・オーガニック」農業を実践しており、最終的には「北海道のような大規模農業で有機農業を実現すること」を目標にしている。

事前にカバークロップについて学び、仮説を立てた上で、「北海道でリジェネラティブ農業に適合する作物を解明する」と「栽培時期はいつが適するのか解明する」という2つの目標を設定。

2023年10月にカバークロップとしてマメ科緑肥作物「アバパール」を圃場一面に播種。その後、耕すのではなく筋を切り、10種の作物を時期を分けて播種・定植した。結果、キャベツと小豆が旺盛に生育した。

慣行農家との比較では、どちらも収量は平均以下だったが、農薬や機械の使用抑制で粗収益は管内平均と比べ小豆は同等、キャベツは反当り最大13万2000円の増益だった。

労働時間では、除草作業や病害虫防除が必要ないため慣行栽培と比べて、小豆で18.1%、キャベツで6.6%削減できていた。これらの結果、大規模有機栽培に向けて同農業は効果的であることが分かった。

土壌分析では、全炭素が向上。軽自動車1年分のCO2排出量に相当する850㎏の炭素貯留ができた。また播種・定植の時期は6月下旬だと生育に好影響をもたらすことも分かった。