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第16回 受賞企業、自治体、学校、市民グループの紹介


第16回地球環境大賞 受賞者一覧
大賞 ライオン株式会社
経済産業大臣賞 住友ゴム工業株式会社
ダンロップファルケンタイヤ株式会社
環境大臣賞 アサヒビール株式会社
文部科学大臣賞 東日本旅客鉄道株式会社
国土交通大臣賞 日本郵船株式会社
日本経済団体連合会会長賞 新日本石油株式会社
フジサンケイグループ賞 積水ハウス株式会社
フジサンケイ ビジネスアイ賞 大和信用金庫
地球環境会議が選ぶ優秀企業賞 帝人株式会社
環境地域貢献賞 石川県金沢市
環境地域貢献賞 愛媛県立北宇和高等学校
環境地域貢献賞 特定非営利活動法人白神山地を守る会




大賞
 ライオン
家庭からCO2 47%削減

 持続可能な循環型社会を実現するため、「環境対応先進企業」をめざして、「温暖化ガス排出量の削減」「資源の循環的・有効活用」「商品を通じた環境配慮」「化学物質の安全管理」「社内の環境意識醸成」の5つを柱とする「ECO LION」活動に全社あげて取り組んでいる。とくに「商品を通じた環境配慮」では、事業活動のエネルギー使用により排出されるCO2の削減に加えて、各家庭から排出されるCO2の削減まで考え、地球温暖化防止への取り組みを推進している。

 洗浄力と生分解性に優れた植物原料「MES(アルファスルホ脂肪酸エステル塩)」を世界で初めて工業化、衣料用洗剤の洗浄成分を石油原料から植物原料へ切り替えることにより、洗濯で家庭から排出されるCO2量を47%削減(1990年比)することに成功した。この「MES」などの植物原料を“切り札”に今後、衣料用洗剤などの家庭品分野にとどまらず、化学品事業などでも積極的に活用していく方針だ。
植物原料の活用による地球温暖化防止。ライオンは全社あげて「ECO LION」活動を展開している



経済産業大臣賞 住友ゴム工業/ダンロップファルケンタイヤ
天然ゴム使い石油外7割に

 “地球と共生する”というコンセプトのもと、低燃費の石油外資源タイヤ「ENASAVE ES801」を開発し、昨年3月発売した。

  タイヤの主原料である石油系の合成ゴムに代わり、植物由来の天然ゴムを採用。石油外資源の使用比率を70%にまで高めた。

  天然ゴムを使用したことによって、転がり抵抗は、従来のエコタイヤより約30%低減し、自動車の低燃費化を実現。この結果、CO2排出量を32%削減(タイヤの燃料への寄与度は1/8として計算)することが可能となった。  来年には、石油外資源の使用比率が97%のタイヤを発売する予定だ。



環境大臣賞
 アサヒビール
エタノール化国産原料活用

 環境経営において、企業市民としてより能動的に持続可能社会の実現に貢献する、という考えに基づく取り組みを強化。沖縄県伊江島でのバイオマスエタノール製造・利用実証研究では、国産原料を用いながら化石燃料に伍するコストでのエタノール製造モデルの実現をめざす。

  バイオマス原料の開発・栽培からエタノール製造、利用までを一貫して行う国内初の実証研究は、九州沖縄農業研究センターと共同で昨年1月、普及に見合う低コストでバイオエタノールを製造できるプロセスの実証試験がスタート。研究する製造モデルは、単位面積あたり従来と同量の砂糖を生産した上で、残した糖分から3倍量のエタノールを製造する。
バイオエタノール混合ガソリンの公用車への給油・走行試験も行われている



文部科学大臣賞
 JR東日本
ハイブリッド鉄道車両開発

 新たな動力システムにより、車両の環境負荷低減をめざす研究開発を推進。その第1ステップとして、ディーゼルエンジンによるハイブリッドシステムを搭載した試験車「NEトレイン」(New Energy Train)を開発し、2003年度から走行性能や省エネルギー効果などの確認を進めてきたが、今夏には営業車として世界初のハイブリッド鉄道車両を小海線(小淵沢〜小諸間)に3両導入する予定である。さらに第2ステップとして、第1ステップの試験車を改造した世界初の燃料電池ハイブリッド鉄道車両の開発を開始し、昨年7月から試験を行っている。



国土交通大臣賞  日本郵船
海洋汚染対策国際標準に道

 船舶の運航に伴って機関室で発生する油性混合物(海洋汚染物質)を、根本的かつ飛躍的に削減する独自のシステムを考案、所有船舶に標準仕様として採用し、船上の処理作業の軽減と海洋汚染の防止で効果を上げた。関係業界は日本船舶技術研究協会を中心に、海洋汚染対策の日本政府案の策定や国際海事機関での国際標準化に貢献してきたが、国際標準化作業の過程では、本システムの開発・運用の技術・ノウハウが十分に活用された。

  また、「トール・ヘイエルダール国際海洋環境賞」の受賞(05年5月)を記念して、昨年から海洋環境保全に関わる調査・研究や人材育成を支援する「日本郵船・ヘイエルダール記念事業」を開始した。



日本経済団体連合会会長賞 新日本石油
世界最大級CDM推進

 「エネルギーの未来を創造し、人と自然が調和した豊かな社会の実現に貢献します。」とのグループ理念のもと、温暖化防止をはじめとする環境負荷低減の取り組みを積極的に進めている。

  とりわけベトナム・ランドン油田でのCO2削減プロジェクトは、CO2削減としては世界最大級のクリーン開発メカニズム(CDM)として、国連機関から承認された。「これからも地球環境との調和を図りつつ、エネルギーの将来を担っていきたい」との決意を新たにしている。



フジサンケイグループ賞 積水ハウス
新築施工までゼロエミ

 住宅生産、新築施工過程の廃棄物を全量リサイクルし、一切埋め立て・単純焼却しないトレーサビリティーの高い独自のゼロエミッションを実現した。現場で約27種類に自社分別、それを建設業界初の「環境大臣の広域認定制度」活用で回収し、自社工場の「資源循環センター」でさらに約60種に分別、信頼の高いリサイクル業者に直接引き渡す。

 新築施工現場のゼロエミッション達成後は、廃棄物の発生量自体を削減するため、納入梱包材の見直しなどサプライヤーも巻き込んだ取り組みを進めている。さらに現在、生産・開発部門への実効的なフィードバックを視野に入れ、効率的な資源の有効利用をめざして、ICタグを利用した廃棄物発生量の精緻なデータ収集・分析システムの導入を試行。工場ゼロエミッションの一環として、廃木材を利用したわが国でも数少ない「バイオマス・ガス化発電」の実証実験を進めるなど、トータルな「循環型事業」の実現を進めている。
積水ハウスが進める樹脂系の分別シーン



フジサンケイ ビジネスアイ賞 大和信用金庫
水質改善と金利を連動

 河川の水質調査で全国ワースト1となった一級河川、大和川の水質改善のため、同じ大和川流域に店舗網を有する地域金融機関のCSR(企業の社会的責任)として、05年の水質汚濁数値、生物化学的酸素要求量(BOD)6.4ミリグラム/リットルからの改善度合いに応じ、最高1.0%の金利を上乗せる「大和川定期預金」を企画し、推進した。

  同時に、「大和川生活排水対策社会実験」にも参加し、大和川の水質悪化要因の80%を占める、各家庭における生活排水の軽減を呼びかけた。その意識づけを預金金利の上乗せ商品で支援し、大和川の水質が改善されれば、結果的に、お客さまへの利益還元ともなろう。



地球環境会議が選ぶ優秀企業賞  帝人
ペットボトル完全循環

 使用済みポリエステル製品を化学分解し、石油から作ったものと同等の原料を回収して再商品化するケミカルリサイクル技術を世界に先駆けて開発。ペットボトルや繊維製品などの完全循環に取り組んでいる。

  なかでもポリエステル繊維製品については、独自のリサイクルシステム「エコサークル」を構築し、国内外70社以上のメンバーとともにリサイクルを推進している。また、初めての海外展開として、米パタゴニア社とともに使用済み製品のリサイクルに取り組んでいるほか、有限責任中間法人の「ロハスクラブ」とは共同で、リサイクル素材を用いたエコバッグを販売するなど、完全循環型リサイクルの輪を精力的に拡大している。
帝人の繊維製品リサイクル工場(帝人ファイバー松山事業所)



環境地域貢献賞 石川県金沢市
下水消化ガスを再利用

 2001年度に策定した「金沢市新エネルギービジョン」に基づき、これまで7割を未利用のまま燃焼処理していた下水の消化ガスを精製して都市ガス原料とし、隣接する都市ガス製造所に供給することでCO2発生量を大幅に削減し、循環型社会形成への貢献を進めている。05年度実績で約1000の標準世帯分に相当する28万立方メートルの都市ガスを製造したが、15年度には下水道普及率の増大に伴い、これを3000世帯分の83万立方bに供給する。
下水汚泥をメタン発酵させるための金沢市の卵形消化タンク



環境地域貢献賞 愛媛県立北宇和高校
農家と一体で清流保護

 日本最後の清流とされる四万十川の支流・広見川の環境保護と取り組む。生産農家の協力を得て、農業廃水の垂れ流しが少ない農業用水リサイクル型竹炭浄化水プールベンチを開発し、農家への普及に努めた。また、産業廃棄物を利用した濾過装置も作り、水質浄化を推進。さらに、環境保護の熱意を伝えるだけの人間力の育成にも努め、「環境作り、人作り」をめざしている。



環境地域貢献賞 白神山地を守る会
ブナ林の修復へ植林活動

 世界自然遺産・白神山地の外周部にあったブナ林の修復・再生事業に取り組む。02年度から津軽沢林道の奥山で植樹祭を開始、廃校の小学校を利用した自然学校も開校し、植林授業を実施している。

  津軽沢林道奥山10ヘクタールの植林は15年をめどに終了するが、その後は赤石渓流線沿いの奥赤石林道の伐採地で植林を開始し、両地域合わせて10万本のブナとコナラの苗木を植林するため、多くの参加者を促す運動を展開する。


審査講評

近藤次郎氏(審査委員長・元学術会議会長、NPO法人環境テクノロジーセンター会長)

 大企業の産業活動はそれぞれユニークで効果も認められるものが多い。大学や自治体、学校部門の活動はそれぞれ自分でテーマを選び行動し、おのおの成果が上がっている。これらの活動を続けて欲しい。市民グループの活動も特色があり良いが、地球環境に意見を持ち、問題への貢献という視点がもっと増えた方がよいと思う。

大内照之氏(WWF会長)

 気候温暖化の弊害が地球規模で日常肌に感ぜられるようになっている現在、原料面と燃料面との両面で脱石化が緊急の課題となっている。今回ライオン株式会社がこの両面で優れた業績を達成され、環境大賞を受賞されたことは、同社が公衆保健衛生面で国民と幅広い接点を持つ会社であるだけに、国民世論への強い波及効果が期待され、非常に意義の高いことであると信ずる。

川那部浩哉氏(琵琶湖博物館館長)

 環境問題への積極的な取り組みが、さまざまなやりかたで着々と拡まっているのを感じる。途中から対象になった学校・自治体などの活動も、ここ数年急速に進んできているようだ。

茅陽一氏(財団法人地球環境産業技術研究機構 副理事長)

 近年は具体的な環境保全活動に力を注ぐNPOが増加してきたようで、大変喜ばしい。企業は製品面、生産活動面のグリーン化へ目を向ける動きが少しずつ出てきている。これを推進したい。

二瓶好正氏(東京理科大学総合研究機構機構長、理工学部工業化学科教授)

 大手企業においては地球環境保全のための取り組みの重要性が広く認識され、幅広い努力と高いレベルでの貢献がなされている。これは大変喜ばしいことであるが、正直、優劣の判断が年々難しくなっている。また、中堅企業に置いてはユニークな試みが実を結びつつあるし、自治体の努力も高く評価したい。
 学校部門では各大学の努力と成果が目立つが、中・高等学校の地道な努力も大切であり今後の成果に注目したい。市民グループ部門の成果は年々着実にレベルアップしているので今後の進捗が大いに期待できる。

黒田玲子氏(東京大学大学院教授)

 大手・中堅企業、自治体、学校、市民グループがそれぞれの立場で地球環境問題に真剣に取り組んでおられる姿が審査書類から窺え、頭が下がる。独自に開発した技術が世界に提供され世界標準になった事例は、喜ばしい。

中村桂子氏(JT生命誌研究館館長)

 地球環境という大きな課題に向けて、企業、自治体、学校、市民とあらゆる人々が、それぞれの日常で努力していることが実感できた。具体的な技術開発、目標設定による着実な成果の見える例も多く、今後に期待が持てる。



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