地球環境大賞
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第18回 受賞企業者の紹介


第18回地球環境大賞 受賞者一覧
大賞 大和ハウス工業株式会社
経済産業大臣賞 NEC(日本電気株式会社)
環境大臣賞 鹿島建設株式会社
文部科学大臣賞 株式会社クラレ
国土交通大臣賞 東京急行電鉄株式会社
日本経済団体連合会会長賞 東京電力株式会社
フジサンケイグループ賞 株式会社三井住友銀行
フジサンケイ ビジネスアイ賞 岩谷産業株式会社
フジサンケイ ビジネスアイ賞 株式会社エコリカ
地球環境会議が選ぶ優秀企業賞 日本郵船株式会社
環境地域貢献賞 大阪府堺市立神石小学校
環境地域貢献賞 特定非営利活動法人グラウンドワーク三島




大賞
 大和ハウス工業
自然と調和したまちづくりの推進―風・太陽・水生かし街区全体でCO2削減

image 京都議定書の目標達成には、家庭部門の対策が喫緊の課題。住宅建設に携わる立場から、個々の住宅における「点」としての省エネ対策はもちろん、街づくりの観点から地域の自然を生かした「面」としての対策を進めるとともに、住まい手との環境コミュニケーションを進めている。

 こうした自然と調和した街づくりを推進するため、環境共生住宅認定制度を活用。2007年度までに一戸建・マンション合わせて4889戸を供給した。08年3月に街開きした「越谷レイクタウン」は、その先導モデルの一つ。戸建住宅(132戸)とマンション(500戸)の一体開発により、風・太陽・水といった自然を最大限活かす工夫を施し、街区全体でCO2排出量の20%以上の削減を目指す。

 戸建街区では、地域の風と水に着目。最新のシミュレーション技術で街区全体の風況解析を行い、その結果をもとに個々の住戸にパッシブデザインを採用し、住戸内の風の流れをデザインした。マンション街区では、日照条件の良さに注目。日本最大規模の住宅用太陽熱利用システムを導入し、給湯・暖房に活用している。

 住まいや街は建設して終わりではなく、住まい手とともに育まれるもの。地域コミュニティー形成のきっかけにと、分譲地に「緑のたまり」となる自然豊かなコミュニティースペースの設置を推進するほか、ソフト面でのサポートとして、省エネモニターの実施や親子参加型ワークショップの開催など環境に配慮した暮らし提案にも取り組んでいる。



経済産業大臣賞 NEC
携帯電話の高機能化と低消費電力を両立

 高機能化と低消費電力化を両立する携帯電話向けマルチコアLSIを開発し、携帯電話端末の使用電力削減を実現した。2007年11月以降発売のNEC製携帯電話端末全機種に採用している。省電力技術を駆使し、高い機能を実現しながら、最長クラスの連続通話時間・待ち受け時間を達成し、バッテリーの小型化も可能にした。これにより端末の全利用者による総CO2排出抑制、筺体の薄型化・軽量化を通じて環境負荷を軽減している。 photo image



環境大臣賞
 鹿島
生物多様性に配慮した都市づくりの推進

 生物多様性の危機は地球温暖化と並ぶ21世紀の最重要課題であるという認識の下、2005年に業界に先駆け「鹿島生態系保全行動指針」を制定した。この指針に基づき、「エコロジカルネットワーク評価技術」や「カニ護岸パネル」などの研究と適用を実施し、生物多様性に配慮した都市づくりを推進している。また、生態系分野の研究者による出前授業や社有林の持続的管理など、生物多様性に本業、社会貢献の双方で取り組んでいる。 photo image



文部科学大臣賞
 クラレ
微生物の分解作用を活用した排水処理技術

 企業活動に伴う環境負荷の最小化とともに、環境問題を解決する技術・システムの開発に注力している。成果のひとつが、微生物の分解作用を活用した排水処理システム「ゼクルス」である。従来の活性汚泥法では多量に発生する“余剰汚泥“(過剰増殖した微生物)が産業廃棄物となり、その削減が課題だったが、「ゼクルス」は独自の微生物固定化担体を採用。余剰汚泥の発生をほぼゼロにできるため、国内外で採用実績が増加している。 photo image



国土交通大臣賞  東京急行電鉄
環境に配慮した新渋谷駅や東急病院の開業

 経営理念に掲げた「自然環境との融和をめざした経営」を実践するため、電力消費量の少ない新型鉄道車両の継続的な導入や、新しい渋谷駅における自然換気システム・放射冷房方式の採用などを実施。東急病院の移転・開業に伴い実施した壁面・屋上の大規模緑化も、地域の環境保全や空調効率の向上に大きく寄与。環境負荷の軽減に積極的に取り組んでいる。 photo image



日本経団連会長賞 東京電力
再生可能エネルギーへの積極的な取り組み

 経済性や安定性を考慮しながら、原子力や火力などそれぞれの特徴を踏まえて環境負荷の少ない電気を届けている。環境性に優れた再生可能エネルギーについては、安定性やコスト面に課題があるものの、これらに十分配慮したうえで、グループとして風力・水力の発電事業、バイオマス燃料加工、自然エネルギー発電の受託・認証など、利用拡大に向けたさまざまな取り組みを進めている。写真は浮島太陽光発電所(完成予想)。 photo image



フジサンケイグループ賞 三井住友銀行
先進的な環境関連金融商品・サービスの開発

 環境問題を重要な経営課題の1つと位置づけ、「環境方針」に基づいて、
①環境負荷軽減②環境リスク対応③環境ビジネス推進の3つを環境配慮行動の柱に計画的な環境活動を展開している。特に環境ビジネスは、金融機関が本業を通じて地球温暖化防止・低炭素社会の実現に貢献できる重要な分野であると認識し、部門横断的な「Eco−biz推進協議会」を定期的に開催するなど先進的な商品・サービスの開発に注力している。
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フジサンケイビジネスアイ賞 岩谷産業
全国で水素エネルギーの啓発活動

 水素エネルギー社会の実現には水素への正しい理解が不可欠。その一環としての「日本縦断水素自動車キャラバン」では、33日間で9000人と出会い34回のサイエンス教室、42回の試乗会を実施。また、企業や業界の垣根を越えたオープンな場として「水素エネルギーフォーラム」を3年前から開催し、水素ネットワーク作りに力を注ぐ。1970年に採択した「住みよい地球がイワタニの願いです」を企業スローガンに、常にユーザーの視点を持って取り組んでいる。 photo image

フジサンケイビジネスアイ賞  エコリカ
使用済みインクカートリッジを回収・再利用

 「人と地球に貢献」という企業理念のもと、環境貢献型商品の開発を目指し、インクジェットプリンター用インクカートリッジのリユース・リサイクル事業を展開。家電量販店など全国6000店舗以上に回収ボックスを設置し、回収→製品化→回収によるリユースシステムの実現とマテリアルリサイクルによる再資源化を促進。資源の再利用、再使用の意識を高め、環境保全を念頭に継続的な活動の実践と新たな取り組みに注力している。 image



地球環境会議が選ぶ優秀企業賞  日本郵船
グループ一丸で「環境特命プロジェクト」

 環境問題を経営上の最重要課題ととらえ、社長直轄の「環境特命プロジェクト」を組織し、グループを挙げて環境問題に取り組んでいる。革新的環境技術開発に投資していくとともに、太陽光パネルなど環境技術の実用化に向けた取り組みを展開。一方、今できる現実的な取り組みとして、海流予測の有効活用による省エネ運航など効率運航の徹底とともに、停泊中の船舶からの排ガス削減のため陸上電力を利用するシステムの採用などを行っている。

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環境地域貢献賞 大阪府堺市立神石小学校
地域とともに環境教育活動を展開

 総合的な学習の時間に、校区を流れる石津川の清掃活動から始めた活動がきっかけとなり、役所・企業・NPOなどとともに地域共同型環境教育「親しめる石津川をめざして」の活動を展開してきた。その活動が発展し、緑化活動「校庭の芝生化」、省エネ活動「みどりのカーテン」、リサイクル活動「プルトップ収集活動」、保護者・地域共同活動「葦船づくり」を実施。子どもの活動とまちづくりを結びつけている。

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環境地域貢献賞 NPOグラウンドワーク三島
「水の都・三島」の原風景を再生

 市民・NPO・企業・行政とのパートナーシップによる実践的、持続的なグラウンドワーク活動を通して、「水の都・三島」の原風景を劇的に再生・復活させ、環境の再生が地域の再生へと発展する先進的な地域づくりを推進。源兵衛川の水辺再生、三島梅花藻の再生保護活動など、これまでに40カ所以上のプロジェクトを実践し、生活者の視点に立った現場主義的なきめの細かい多面的な「市民公協事業」に挑戦している。

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審査講評

photo image 近藤次郎氏(審査委員長・元日本学術会議会長、特定非営利活動法人環境テクノロジーセンター会長)

 最近、経済不安が続くかのような雰囲気中で、将来に対する不安やあきらめなどを感じる人達が増えてきていると思う。このような状況の中で将来のために継続的に地道に活動をしていることは評価に価すると思う。

photo image コ川恒孝氏(財団法人世界自然保護基金ジャパン会長)

 京都議定書の約束期間が始まったこともあり、温暖化対策への貢献が目立つ審査となった。中でも中堅企業のCO2削減アイデアが斬新であり、日本ならではの技術が新たな環境対策を底上げすることが期待される。

photo image 阿部博之氏(独立行政法人科学技術振興機構顧問  東北大学名誉教授)

 大企業の多くは、環境への取り組みに極めて熱心であり、とくに応募企業は自信を持って自社の姿勢や実績をアピールしている。入学試験に例えれば、全科目で高得点を得ようと努力しているように思った。それだけに甲乙つけ難いといえる。これに対して中堅企業は焦点を絞っており、それらの特徴は興味深い。また神石小学校にみられる、学校、保護者、地域が一体となった子供時代の体験は意義の大きいものと考える。

photo image 有馬朗人氏(財団法人日本科学技術振興財団 会長)

 地球環境を保全しつつ、省エネルギー化に企業も、地方自治体も、学校も、市民も、皆が大いに努力をしている姿に感心した。このような努力と英知を積み重ねれば将来は明るい。皆で協力して人類が抱えている大きな問題を解決したいものである。

photo image 茅陽一氏(財団法人地球環境産業技術研究機構 副理事長)

 自己機関の活動の諸面(製品、製造プロセス、社会活動など)で多彩に地球環境に貢献しようとする機関が目立った。地球環境劣化の現状を考えると大変望ましい動きであると思う。

photo image 黒田玲子氏(東京大学大学院教授)

 地球環境問題への取り組みが定着し、どの企業体も良く取り組んでおり、優劣をつけがたくなっている。今後の成果が楽しみなものもある。今年は、自治体や学校の取り組みにも良いものがあったと思う。

photo image 合志陽一氏(前国立環境研究所理事長 筑波大学監事)

 環境問題解決のための個別技術・製品の開発は当然ながら、新しい発展が数多く見られた。しかし一方では地域活動を中心としつつ現実の環境問題に多面的・持続的に取り組み、よい成果をあげているものがいくつかあり、今後の方向を示しているように見えた。
photo image 中村桂子氏(JT生命誌研究館 館長)

 企業の環境意識の高まりを感
じる。環境問題が喫緊の課題であるということだろう。そこで植林、省エネという活動を超えて本業での技術開発・システム開発による取り組みを望む。



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