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第27回地球環境大賞 授賞式

積水ハウスに大賞授与 環境、防災のまちづくりに貢献

大賞地球環境大賞を受賞し、フジサンケイグループの日枝久代表(右)からトロフィーを受け取る積水ハウスの阿部俊則会長=9日、東京・元赤坂の明治記念館(桐山弘太撮影)

産業の発展と地球環境との共生を目指し、温暖化の防止や環境保全活動に取り組む企業・団体を表彰する第27回「地球環境大賞」(主催・フジサンケイグループ)の授賞式が9日、秋篠宮ご夫妻をお迎えして東京・元赤坂の明治記念館で開かれ、受賞者に表彰状とトロフィーが手渡された。

式典では、全国16カ所ででスマートタウンを展開し、宮城県東松島市と共同で環境や防災などに貢献するまちづくりを実現して大賞に輝いた積水ハウスの阿部俊則会長が「わが国の地域環境保全の取り組みに寄与する企業活動に邁進し、持続可能な社会の構築に貢献していく」と述べた。

フジサンケイグループの日枝久代表は「温暖化対策の2020年以降の新たな枠組み『パリ協定』のルール作りが本格化し、日本の強いリーダーシップが求められている。この顕彰制度を通じて、世界の経済成長と気候変動対策の両立に貢献する」とあいさつした。

地球環境大賞顕彰制度委員会委員長を務めるキヤノンの御手洗冨士夫会長CEO(最高経営責任者)は「今後も本賞の社会的な評価を高め、社会・経済の持続的発展の一助となるよう努めていく」と語った。

持続可能な社会実現へ決意新たに

穏やかな春の日となった9日、東京・元赤坂の明治記念館で行われた第27回「地球環境大賞」の授賞式。出席した企業・団体のトップ、産学官など多くの関係者らは温室効果ガスによる温暖化の防止と、経済成長の両立といった持続可能な社会の実現に向け決意を新たにしていた。

授賞式を前に、庭園で記念撮影する受賞各社の代表=9日、東京・元赤坂の明治記念館


受賞 喜びの声

■大賞

阿部俊則・積水ハウス会長 「東松島市スマート防災エコタウン」は、これまでのスマートハウス・スマートタウン開発で得た知見を活かし実現した、日本初の地球温暖化防止・防災力向上・地域経済活性化に貢献するスマートタウンです。今後も先進の技術で快適な暮らしを実現するとともに、持続可能な社会構築に寄与する環境経営を加速させていきます。

■経済産業大臣賞

貫正義・九州電力会長 再生可能な地熱や水力などの積極的な開発と太陽光の最大限の受け入れ、地域における自然環境の保全など、当社グループでの取り組みを高く評価いただき、誠に光栄に存じます。今後も地球環境保全への取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

■環境大臣賞

佐久間國雄・東洋インキSCホールディングス会長 当社のバイオマス関連製品を高く評価いただき、大変光栄に存じます。本受賞を励みに、今後も印刷・包装分野に向けた各種化学製品を科学的アプローチを通じて、開発・提供し、持続可能な社会実現に向け貢献してまいります。

■文部科学大臣賞

松尾清一・名古屋大学総長 教育や研究、キャンパスマネジメントを通じて地球環境に貢献しようとする取り組みと実績を高く評価していただき、光栄です。今後も名古屋大学は持続可能な未来社会の創造を目指すフロントランナーとして、チャレンジを続けたいと思います。

■国土交通大臣賞

正井健太郎・日立製作所鉄道ビジネスユニット執行役常務・モノづくり・品質保証担当 新しく開発した「A−train」(アルミ車両)が国内外の納入先で乗客の皆さまにご利用いただくことにより、持続可能な社会へ貢献していることを高く評価していただき、誠に光栄に存じます。今後も環境に配慮した車両を提供することで、さらに持続可能な社会の構築に貢献してまいります。

■農林水産大臣賞

尾賀真城・サッポロホールディングス社長 バイオマスエネルギー技術開発の取り組みを高く評価いただき、大変光栄に存じます。今回の受賞を励みに、これからも酒類製造で培った醸造技術のイノベーションを通じて、持続可能な社会づくりに貢献してまいります。

■日本経済団体連合会会長賞

岡本一郎・日本軽金属ホールディングス社長 ノンフロン断熱パネル「ジェネスタ(R)」による温室効果ガス排出削減を高くご評価いただき、誠に光栄に存じます。今回の受賞を励みに、今後も「チーム日軽金」で、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

■フジサンケイグループ賞

●田忠裕・YKK会長CEO 自然エネルギー活用により、電力などのエネルギー消費を抑えた「まちづくり・住まいづくり」を提案する「パッシブタウン」の整備を高く評価いただき、大変光栄に存じます。今後も持続可能な社会への貢献に取り組んでまいります。
●=土の下に口

■奨励賞

平岡敏行・東芝ライテック社長 「あかり」「ひかり」のパイオニアとして、照明にGaNパワーデバイスを使い新しい価値を創造し続けていることを高くご評価いただきました。今後も“東芝が創るあかり未来”を築き、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

永島弘明・出雲西高等学校校長 本校の環境活動に高い評価をいただき、光栄に存じます。生徒たちのモチベーション向上につながるものと喜んでおります。活動を支えていただきました皆さま方に感謝いたします。今後も地域の環境保全に貢献できるよう、環境教育に努めてまいります。

秋篠宮殿下のお言葉「優れた技術・知識で世界に貢献を」

授賞式でお言葉を述べられる秋篠宮殿下=9日、東京・元赤坂の明治記念館(桐山弘太撮影)

本日、第27回「地球環境大賞」の授賞式にあたり、皆様とともに出席できましたことを、大変うれしく思います。また、このたび各賞を受賞される方々に心からお祝いを申し上げます。

近年、地球温暖化の防止や生物多様性の保全など、環境諸問題に対する人々の関心や意識は、その高まりとともにグローバルな広がりを見せております。いっぽう、気候変動が大きな要因とみられる自然災害が世界各地で数多く発生しており、わが国においても豪雨や豪雪など、その甚大な被害が人々の生命と生活に大きな影響を及ぼしています。地球環境に関わる問題を考えるとき、自然環境の保全とともに、防災や減災についての意識を今以上に高めつつ、私たちが如何にして自然と共存していくか、その方途を探求する必要性を強く感じます。

今年で27回目を迎えた、地球環境大賞は、環境を守りながら発展する産業や、持続可能な循環型社会の実現に寄与する製品や技術の開発など、環境保全の取り組みを顕彰することで、社会への貢献を目的として創設されました。そして産業界に始まり、自治体、学校、市民グループへと表彰の対象を広げながら、環境活動に熱心に取り組む人々を広く顕彰することによって、地球環境の保全、人々の環境意識を高めることに貢献してまいりました。

2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」や、温暖化防止のための新たな国際的枠組みである「パリ協定」が注目を集めるなか、今後とも、わが国は、その優れた環境関連技術や知識をもって世界に貢献していくことが求められましょう。

終わりに、受賞者をはじめとする皆様が、今後とも地球環境の保全に積極的に取り組んでいかれることを期待するとともに、その活動がより一層広がりを見せることを祈念し、私のあいさつといたします。

活力あふれる国づくりに邁進 フジサンケイグループ代表・日枝久氏

本日、秋篠宮同妃両殿下のご臨席を賜り、また多くのご関係の皆様にご出席いただく中、第27回「地球環境大賞」の授賞式を行わせていただきますことに、心から感謝申し上げます。

私どもフジサンケイグループが「産業の発展と地球環境との共生」を基本理念に平成4(1992)年に創設した地球環境大賞顕彰制度は、今年で第27回を迎えることができました。秋篠宮同妃両殿下には当初から一貫して授賞式にご臨席を賜り、また、WWFジャパンをはじめ関係各方面の皆様のご協力、ご支援を受けて、日本を代表する環境顕彰制度として広く社会に定着してまいりました。改めて厚く御礼申し上げます。

さて、環境・エネルギー問題をはじめ地球規模の課題解決に向けては、経済界・産業界の果たすべき役割が一段と重要になっております。そして、持続可能な地球の未来は、私たち一人一人の叡智(えいち)の結集とその実行力にかかっているといっても過言ではありません。

いま、環境の分野では温暖化対策の2020年以降の新たな枠組みである「パリ協定」のルール作りが本格化し、国際社会では30年までの「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現に向けて、日本の強いリーダーシップが求められています。

こうした中、私たちフジサンケイグループは、この地球環境大賞顕彰制度を通じて、世界の経済成長と気候変動対策の両立に貢献し、あらゆる分野で「環境と経済」「環境と社会」の調和による豊かで活力にあふれる国づくりに今後とも邁進(まいしん)して参る所存であります。

皆様方のなお一層のご支援を賜りますようお願い申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。

社会・経済発展の一助に 顕彰制度委員会委員長・御手洗冨士夫氏

本日は、秋篠宮同妃両殿下のご臨席を賜り、第27回「地球環境大賞」の授賞式が開催できましたことを、心から感謝申し上げます。そして、本日、受賞される皆様に心よりお祝い申し上げます。

この地球環境大賞は、関係者の皆様方のご尽力、ご努力により、権威と影響力のある顕彰制度として、産業界をはじめ各界・各層から高い評価と支持を得ており、より良き社会や新たな時代の創造に寄与してまいりました。

地球規模の環境問題の解決が人類共通の課題となる中、日本の優れた技術や知識、地道でたゆみない環境活動が、世界の発展と持続可能な社会の発展に貢献してまいりましたことは、誠に喜ばしい限りでございます。

顕彰制度委員会委員長として、今後も本賞の社会的な評価をさらに高め、社会・経済の持続的発展の一助となるよう、努めてまいる所存でございます。より一層のご理解・ご協力を賜りますよう、お願い申し上げ、私からのご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

地域の災害対応力強化 大賞受賞あいさつ 積水ハウス会長・阿部俊則氏

本日は、秋篠宮殿下、同妃殿下ご臨席の下、栄誉ある第27回「地球環境大賞」を頂戴し、誠に光栄に存じます。受賞者を代表し、一言、ご挨拶を申し上げます。

今、われわれは多様な社会問題に直面しています。なかでも気候変動問題は日本のみならず世界的に見ても喫緊の課題です。これに対し積水ハウスは、住宅は社会の中心にあり、住宅から社会問題を解決できると考え、2008年には、日本企業で最も早く「脱炭素宣言」を行い、気候変動問題の解決にいち早く取り組んでまいりました。現在、当社が販売する住宅の70%以上がゼロエネルギーハウスです。これにより昨年は「経済産業大臣賞」をいただいております。

今回、大賞としてご評価いただきました「東松島市スマート防災エコタウン」は、宮城県東松島市との共同事業で実現したものですが、先の震災で、東松島市は1カ月にわたる停電の被害を受け、患者さんが目の前にいながら、病院で治療ができないという状況に直面したそうです。このように日本は災害大国でもあり防災も大きな社会問題です。さらに、復興においては地方経済の活性化も問題です。

このようなことから、この街では自営線で災害公営住宅85戸と周辺の4つの病院や公共施設を結ぶ、日本で初のマイクログリッドを構築し、再生可能エネルギーを地産地消できる街を実現しました。系統電力が遮断した場合にも、最低3日間、通常の電力供給が可能です。停電が長期化した場合にも、病院や地域の避難所となる集会所への電力供給が継続できるなど、地域の災害対応力と防災力を高めました。

さらに、太陽光発電による電力を直接エリア内に売電することで利益を創出することができる新しいビジネスモデルを構築しました。売電による利益を地域に還元することで地域には雇用が生まれ、地域経済の活性化にも貢献します。

このプロジェクトは、これまで積水ハウスが積み重ねて参りましたまちづくりの経験を生かした、日本初の、環境にやさしく、災害にも強く、地域経済活性化にも貢献する、全く新しいスマートタウンです。

パリ協定以降、世界は脱炭素に向けて大きく動き始めました。積水ハウスも、今回の受賞を励みに、環境大臣認定「エコ・ファースト企業」として、先進性・独自性に富む地球温暖化対策など、わが国の地球環境保全の取り組みのさらなる前進に寄与する企業活動に邁進(まいしん)し、持続可能な社会の構築に貢献して参ります。

最後になりますが、本主催者のフジサンケイグループをはじめ全ての関係の皆様にお礼を申し上げます。この地球環境大賞が、わが国を代表する環境顕彰制度として、より一層ご発展されますこと、そして、本日ご臨席の皆様のますますのご健勝を心より祈念いたしまして、私のご挨拶とさせていただきます。

地産地消モデルとして高く評価 審査委員長講評・有馬朗人氏

本日は、秋篠宮同妃両殿下ご臨席の下、第27回「地球環境大賞」の授賞式がこのように盛大に執り行われましたことを、お喜び申し上げます。審査委員を代表し、審査結果について講評いたします。

今回は、企業や団体、学校など全国から合計106件の応募がありました。いずれも、「地球環境大賞」の理念にふさわしい優れた内容で、大いに成果を上げており、今回は温暖化防止や防災性能の向上を図り、地域経済の活性化にも貢献する「東松島市スマート防災エコタウン」をはじめ、全国16カ所で環境にやさしいスマートタウンを展開している積水ハウス株式会社に「大賞」を授与することといたしました。

同社は前回、ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)の普及で「経済産業大臣賞」を受賞しており、2年連続の受賞となります。「東松島市」での取り組みは、太陽光発電の電力を固定価格買い取り制度(FIT)で売らず、自営線スマートグリッドを用いて街全体に供給するという地産地消モデルとして高く評価したものです。

今回の応募企業・団体、とりわけ入賞候補者の取り組みはどれも大変立派で甲乙つけがたく、審査にあたっては非常に苦労したことをご報告しておきます。

第27回を迎えた本顕彰制度が今後、ますます充実し、環境活動に積極的に取り組む産学官、市民グループの良き指針となることを願って、講評といたします。ありがとうございました。

WWFジャパンに寄付目録

レセプション会場では、地球環境大賞に特別協力しているWWFジャパンの淡輪(たんなわ)敬三副会長に、産経新聞社の熊坂隆光会長から寄付目録が手渡された。

挨拶に立った淡輪副会長は「地球に対する環境負荷は年々増えており、持続可能な社会の実現にはまだまだ長い道のりがある。このため、皆様には今後もより一層、新しいチャレンジとイノベーションに励んでいただきたい。われわれも地球環境の保全およびサステナブルな社会の実現に協力させてもらうので、引き続きご支援をいただきたい」と述べた。

秋篠宮ご夫妻と歓談の輪広がる

レセプションで乾杯の音頭をとる前回大賞を受賞した富士通の佐々木伸彦副会長(左)=9日、東京・元赤坂の明治記念館

第27回「地球環境大賞」では、会場となった明治記念館の中庭に受賞者が集まり、ご臨席された秋篠宮ご夫妻に、自社の受賞理由や環境技術を説明した。授賞式後のレセプションには、受賞者に加えて経済界などから多数の関係者が出席し、秋篠宮ご夫妻を囲む形で歓談の輪が広がった。

特にご夫妻は環境技術や製品に対するご関心が高く、踏み込んだご質問が相次いだ。

サッポロホールディングスはタイでバイオエタノールの生産技術を確立した。殿下と紀子さまはタイへのご関心が高く、同社の尾賀真城社長によると、(パイロットプラントの)具体的な場所や、キャッサバ以外の原料でも対応できるかなどについて尋ねられたという。

YKKの吉田忠裕会長CEOは「殿下は自然エネルギーを利用する次世代集合住宅について、大変お詳しい様子だった」と話した。

東芝ライテックには、大幅な消費電力削減を実現したことについて技術的な質問が寄せられ、「新しい技術の開発は難しいが『ぜひ広めてほしい』とのお言葉をいただいた」(平岡敏行社長)。

九州電力の貫正義会長は、再生可能エネルギーの将来性などについて説明した。秋篠宮殿下は、五島列島(長崎県)で計画が進む潮流発電の将来性や太陽光発電の効率性に興味を抱かれていた。

また、紀子さまは日立製作所鉄道ビジネスユニットが実用化したエネルギー消費量の少ない新しい溶接技術と、従来の技術との違いについても強いご関心を示された。

今回の受賞を機に、環境対策に一段と弾みをつけたいという声も聞かれた。

日本軽金属ホールディングスの岡本一郎社長は受賞したノンフロン断熱パネルについて、「衛生面も含めてさらに技術を向上させ、用途を広げていきたい」と述べた。積水ハウスの阿部俊則会長は、宮城県の東松島市スマート防災エコタウンが、環境だけでなく防災や雇用面でも役立っている点を強調。東北の他地域での具現化にも意欲を示していた。

一方、出雲西高校は9日未明に島根県で発生した震度5強の地震の震源地に近いため、永島弘明校長が大きな被害を受けていないと報告すると、秋篠宮ご夫妻はほっとされたご様子だったという。


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