秋篠宮ご夫妻ご臨席のもと開かれた「第30回地球環境大賞」授賞式。地球環境大賞を受賞し、フジサンケイグループの日枝久代表から表彰状を受け取る積水ハウスの仲井嘉浩社長(右)=28日午後、東京都港区の明治記念館(萩原悠久人撮影) 産業の発展と地球環境との共生を目指し、温暖化の防止や環境保全活動に取り組む企業・団体を表彰する第30回「地球環境大賞」(主催・フジサンケイグループ)の授賞式が28日、秋篠宮ご夫妻をお迎えして東京・元赤坂の明治記念館で開かれ、受賞者に表彰状とトロフィーが手渡された。 式典では、累積1709万本を植樹して生物多様性の保全に貢献し大賞に輝いた積水ハウスの仲井嘉浩社長兼CEO(最高経営責任者)が「これまで蓄積した生物多様性保全のノウハウを今後も広く社会と共有し、保全活動の輪を広げていきたい」と述べた。 また、フジサンケイグループの日枝久代表は「国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成やカーボンニュートラルの実現に向け日本の強いリーダーシップが求められている」とした上で、「この顕彰制度を通じ、環境と経済の調和による豊かで活力のある国づくりに邁進していく」とあいさつした。 地球環境大賞顕彰制度委員会委員長を務めるキヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長CEOは「この賞の社会的な評価をさらに高め、これからも社会や経済の持続的発展の一助となるよう、努めていく」と語った。 秋篠宮さまのお言葉全文「第30回地球環境大賞」授賞式でお言葉を述べる秋篠宮さま=28日午後、東京都港区の明治記念館(萩原悠久人撮影) 本日、第30回「地球環境大賞」の授賞式が3年ぶりに開催されるにあたり、皆様とともに出席できましたことを、大変うれしく思います。そして、このたび各賞を受賞される方々に心からお祝いを申し上げます。 皆様が行ってこられた取り組みは、植樹による都市部の生物多様性の保全、脱炭素に寄与する先進技術開発、持続可能な農林業、まちづくりのための新たな施策など、地球環境の保全や自然環境との共存に大きく寄与するものであります。ここに皆様の今までのご努力に対し、深く敬意を表します。 近年、地球温暖化の防止や生物多様性の保全、廃棄プラスチックによる海洋汚染など、様々な環境問題に対する人々の関心と意識は非常に高いものを感じるとともに、これらがグローバルな展開を見せております。そのいっぽうで、気候変動が大きな要因とみられる自然災害が世界各地で数多く発生しています。我が国でも、毎年のように豪雨による大きな被害が全国各地で生じております。地球環境に関わるこれらの問題を考えるとき、自然環境の保全とともに、防災や減災についての意識を高め、諸課題解決に向けた方途を探求していく必要性を強く感じます。 本年で30回目を迎えた地球環境大賞は、環境を守りながら発展する産業や、持続可能な循環型社会の実現に寄与する製品や技術の開発など、環境保全の取り組みを顕彰し、社会に貢献することを目的として創設されました。爾来、産業界に始まり、自治体、学校、市民グループへと表彰の対象を広げ、環境保全と災害への対応に熱心に取り組む人々を広く顕彰することによって、地球環境の保全と人々の環境意識を高めることに貢献してきました。 国連の持続可能な開発目標、いわゆるSDGsが注目を集め、昨年の「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議」においては、我が国をはじめ多くの国々が地球温暖化防止に向けたカーボンニュートラルに触れ、目標を宣言いたしました。 COVID-19のパンデミックによるものをはじめ、現在、世界の社会経済情勢には厳しいものがあります。しかし、そのような中にあっても環境に関する諸問題の重要性は不変です。今後とも、日本の優れた環境関連技術や知識をもって世界に貢献していくことが求められましょう。その意味でも、国際社会のモデルとなるような優れた実績を積み重ねていくことは、誠に意義深く大切なことと考えます。 終わりに、受賞者をはじめとする皆様が、これまでにも増して温暖化の防止など、地球の環境保全や自然との共存に積極的に取り組んでいかれることを期待するとともに、その活動がより一層広がりを見せることを祈念し、本式典に寄せる言葉といたします。 秋篠宮ご夫妻とご懇談 地球環境大賞の受賞者「第30回地球環境大賞」授賞式に臨席された秋篠宮ご夫妻=28日午後、東京都港区の明治記念館(飯田英男撮影) 28日に開かれた第30回「地球環境大賞」授賞式では、新型コロナウイルスの感染防止への配慮から懇親会の実施は見送られたが、授賞式に先だち秋篠宮ご夫妻と受賞者がご懇談する場が設けられた。 大賞を受賞した積水ハウスの仲井嘉浩社長兼CEO(最高経営責任者)は授賞式の終了後、「懇談の際に秋篠宮さまが『植樹のネットワークが広がれば公園を作るのと同じ効果がえられますね』とおっしゃられた」と振り返った。 また、経済産業大臣賞を受賞した九州電力の瓜生道明会長は、地域の人と取り組む生物多様性の保全などが評価されたとして、「こうした取り組みを続けることで、これからも持続可能な社会の実現に貢献したい」と、今後への意欲を示した。同社は毎年、環境保全を目的に大分県の「くじゅう坊ガツル湿原」の野焼きを地域の人を含めた800~900人規模で行っている。 一方、文部科学大臣賞を受賞した青森県立名久井農業高校の小泉朋雄校長は、「卒業生の頑張りも含め研究の成果が認められてうれしく思います」と喜びを語った。開発途上国の農業を支援する同校の取り組みは国内外から評価され、さまざまな賞を受賞している。秋篠宮ご夫妻とのご懇談の際には「『(同校の)お名前をよく聞きます。とても頑張っていますね』とおっしゃっていただいた」という。 研究の班長を務める3年生の中居泉穂(みずほ)さん(17)は「助け合いをモットーに研究を進めてきた。これからも高校生の視点を生かし、農業の力で困っている人を助けていきたい」と話した。 |
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