ペプチドリームなどに贈賞

優れたバイオベンチャー企業を表彰する第8回「日本バイオベンチャー大賞」（フジサンケイビジネスアイ主催）の贈賞式が7日、高円宮妃久子さまをお迎えし、神戸市灘区の神戸大学で開かれた。

グランプリに当たる大賞には、独自の創薬システムを開発し、国内外の大手製薬企業と共同研究に取り組むペプチドリーム（東京都目黒区）が輝いた。

また、高い抑制効果のある花粉症対策商品で「フジサンケイビジネスアイ賞」に選ばれたワイ'ズ（東京都豊島区）をはじめ、食品、化学など幅広い分野で有用物質を解析するオーピーバイオファクトリー（那覇市）が「バイオインダストリー協会会長賞」に、また臨床医の視点から眼科の治療薬を開発したアールテック・ウエノ（東京都千代田区）が「審査員特別賞」にそれぞれ選ばれた。

ペプチドリームの窪田規一社長は「受賞はバイオベンチャーの業界全体に対する期待と支援だと認識し、日本の産業育成に役立ちたい」とあいさつした。

高円宮妃久子さまのお言葉

本日、第８回「日本バイオベンチャー大賞」の贈賞式に出席し、皆さまとご一緒できますことを大変うれしく思います。このたび受賞された皆さまには、心よりお祝いを申し上げます。独創的な研究開発にチャレンジし、大きな成果を出されたことに敬意を表します。

バイオテクノロジーの分野では昨年、たいへん喜ばしい出来事がありました。京都大学の山中伸弥教授がｉＰＳ細胞の研究で、ノーベル医学・生理学賞を受賞されたのです。この研究は再生医療という新しい治療法の道を開いたほか、革新的な新薬開発の実現にもつながり、難病に苦しむ方々を救う可能性を秘めています。このような画期的な成果が日本で生まれ、世界に認められたことはバイオ分野の研究者はもちろん、国民の大きな誇りといえるでしょう。

21世紀は生命体が持つさまざまなメカニズムの研究が一気に進み、バイオテクノロジーは医療・健康分野はもとより、環境保全やモノづくりの現場にいたるまで広範囲な分野で活用されると考えられています。一昨年には東日本大震災に見舞われ、多くの方々が被災されました。こうした災害でバイオテクノロジーが大きな力を発揮することもあるでしょう。

バイオテクノロジーは国民の生活を守り、より豊かにするために不可欠な技術です。しかし、遺伝子を取り扱う場合には倫理上の問題があるほか、科学的に未知の部分も多く、解明が必要な課題はたくさんあります。

本日はバイオテクノロジーの持つ将来性や可能性に大きな期待を寄せる機会ともなりました。受賞された皆さまをはじめ大学や研究機関、バイオ産業に従事される方々は、数多くの期待を背負っています。皆さまの研究が今後もさらに充実し、発展していくことを心より願い、式典に寄せる言葉といたします。本日はおめでとうございました。

懇親パーティー　歓談の輪広がる

7日に開催された第8回「日本バイオベンチャー大賞」の贈賞式へのご臨席のため、会場の神戸大学に到着された高円宮妃久子さまは、同大統合バイオリファイナリーセンター長の近藤昭彦・工学研究科教授らの案内で自然科学総合研究棟を視察された。

同研究棟では、ラン藻（シアノバクテリア）を用いたバイオエタノールの生産技術の開発や、海洋性緑藻を用いた油脂生産技術の開発などに取り組んでいる。説明を受けられた久子さまは熱心に質問されていた。

来賓として贈賞式に出席した井戸敏三兵庫県知事は「バイオテクノロジーの進展と成果が生活と健康に寄与することを期待したい」とあいさつした。

また、式典に続いて開かれた懇親パーティーでは、矢田立郎神戸市長が「受賞者の方々には、さらにバイオテクノロジーの研究を進められ、日本経済を発展させる原動力となることを期待しています」と祝辞を述べた。

このあと、久子さまは受賞企業の関係者らから研究内容について説明を受けられるなど、歓談の輪が広がった。