地球環境大賞 | アサヒグループホールディングス株式会社 食料・エネルギーの同時的増産を可能にする「砂糖・エタノール逆転生産プロセス」の開発 |
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経済産業大臣賞 | 株式会社NTTファシリティーズ 家庭部門向けデマンドレスポンスサービスによる節電支援 |
環境大臣賞 | 富士特殊紙業株式会社 人と環境にやさしい水性グラビア印刷の開発・実用化 |
文部科学大臣賞 | 国立大学法人三重大学 「世界一の環境先進大学」を目指した多彩な活動 |
国土交通大臣賞 | 株式会社竹中工務店 耐火木造部材の開発などサステナブルな社会の実現に貢献する木造建築への取り組み |
日本経済団体連合会会長賞 | 宇部興産株式会社 「調色樹脂リサイクル技術」による再生プラスチックの有効利用 |
フジサンケイグループ賞 | 味の素株式会社 グリーンエコノミーの実践などグループをあげての持続可能な発展への取り組み |
審査委員特別賞 | 兵庫県豊岡市 安全・安心なコメと多様な生きものを育む「コウノトリ育む農法」の取り組み |
「食料・エネルギーの同時的増産を可能にする「砂糖・エタノール逆転生産プロセス」の開発」
食料・エネルギーの同時的増産を可能にする「多収性サトウキビKY01-2044」と「砂糖・エタノール逆転生産プロセス」を独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構と共同で開発。サトウキビの搾汁には砂糖になるショ糖と、砂糖製造を阻害する還元糖が含まれるが、逆転生産プロセスは特殊な酵母を利用して還元糖だけをエタノールに変換後、砂糖を高効率に製造するもの。「砂糖製造⇒エタノール製造」という順序を世界で初めて逆転させた画期的生産プロセスで、これら2つの技術による砂糖とエタノールの生産は経済活動として優位性が高く、温室効果ガス排出削減にも効果的であることを確認している。
「家庭部門向けデマンドレスポンスサービスによる節電支援」
マンション入居者の節電・ピークカット(シフト)を包括的に支援するデマンドレスポンスサービス「エネビジョン」を展開。電気事業者からの要請に基づいた電力需要抑制を含む家庭部門向けのデマンドレスポンスサービスで、同社が高圧電力を一括購入して家庭用に低圧電力を供給しているマンション入居世帯に対し、「見える化」「時間帯別料金」「節電ポイント」の各サービスを無料で提供。家庭部門における節電・ピークカットの普及拡大により、地球環境保護への貢献や新たな市場・産業の創出が期待できる。
「人と環境にやさしい水性グラビア印刷の開発・実用化」
食品包装用パッケージフィルムのグラビア印刷には、トルエンなどの有機溶剤が多く含まれる油性インキが用いられ、大気汚染や現場で働く作業員の負担が問題となっていた。これを改善するため、フィルムやインキ、印刷機などの専門メーカーと共同で研究に取り組み、水性グラビア印刷システムの開発・実用化に成功した。油性グラビア印刷に比べインキ使用量を40%削減、油性インキと比較して有機溶剤を85%削減できるなど地球環境負荷の低減や労働環境の大幅な改善を実現し、安全性に配慮した食品包装用パッケージを提供できるようになった。
「「世界一の環境先進大学」を目指した多彩な活動」
「世界一の環境先進大学」を目標に掲げ、二酸化炭素(CO2)排出量を2020年までに1990年比で約30%削減するという省エネルギー中長期計画を09年に策定。そのロードマップに基づき、カーボンフリー大学を目指している。教職員と学生が一丸となり、ISO14001認証取得に伴う環境マネジメントシステムの構築やスマートキャンパス(MIESC)実証事業など多彩な環境活動を展開し、エコ大学として多くの実績をあげている。12年3月には、キャンパスだけでなく地域や世界に向けた環境教育の情報発信拠点となる「環境・情報科学館」を開設した。
「耐火木造部材の開発などサステナブルな社会の実現に貢献する木造建築への取り組み」
厳しい法規制により都市部における大型木造の建造は困難な状態が続き、現代建築の木造化が停滞している。こうした状況を打破し、創業以来、伝統木造建築を多く手掛けてきた実績を生かしながら、サステナブルな建築として現代木造建築を都市部に実現しようと耐火木造部材「燃(も)エンウッド」を開発。都市部において国内初となる大規模木造建築を完成させた。今後、同部材の適用で大規模木造建築が加速され、森林サイクルの活性化などによる地球温暖化防止や地域経済の活性化が期待できる。
「「調色樹脂リサイクル技術」による再生プラスチックの有効利用」
使用済みの家電や自動車から出る廃プラスチック(ポリプロピレン=PP)を、独自技術によってさまざまな色に着色し、新品のように再利用できる「リサイクルコンパウンド」(RCP)技術を開発。この技術を使った製品「UBE-コンポジット」は、家電リサイクル法や自動車リサイクル法の施行に伴い、洗濯機や冷蔵庫などの家電部材や自動車内装材などに採用が進み、2012年度の販売量は5.0千㌧に達する見込み。元PP樹脂メーカーとして30年以上の知見を最大限に生かし、コンパウンド(混練)技術と着色技術を組み合わせたオンリーワン製品として、再生プラスチックの有効利用に貢献している。
「グリーンエコノミーの実践などグループをあげての持続可能な発展への取り組み」
「Good eating=Green eating」を掲げ、グループで地球環境の持続可能な発展へ取り組んでいる。2009年に創業100周年を迎え、次の100年に向け、食やアミノ酸、医薬・健康事業などを通じた21世紀の人類社会の課題解決と「地球持続性」「食資源の確保」「健康な生活」の実現への貢献を宣言。具体的には、自然資源を見守り、育むため、地域での資源循環型のアミノ酸発酵製造工程「バイオサイクル」を各国で30年以上継続。資源をムダなく活かしきり、循環させるため、発酵液からアミノ酸を取り出した後に残る液体を肥料や飼料として製品化するなど、グリーンエコノミーを実践。
「安全・安心なコメと多様な生きものを育む「コウノトリ育む農法」の取り組み」
農薬や化学肥料に頼らず、安全・安心なコメと多様な生きものを育む「コウノトリ育む農法」に取り組む一方、農業技術の確立と認証制度による農産物の安全・安心ブランド化も推進している。
この農法では、農薬の代わりに自然界での「食う、食われる」という食物連鎖の仕組みを活用。作付面積は急激に増え、全国の500を超える店舗でコウノトリ育む米を販売。農薬を使用する場合に比べ減農薬で約6割、無農薬で約10割高く売られ、農業者には経済的な利益や環境保全への意欲、誇りをもたらしている。消費者は、消費を通じた生物多様性保全への貢献に共感し高い値段でも購入している。