受賞者について

第24回地球環境大賞 受賞者

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地球環境大賞

トヨタ自動車株式会社

燃料電池自動車(FCV)の「MIRAI」を開発、販売

経済産業大臣賞

東レ株式会社

新興国の砂漠・荒廃地の緑化・農地化システム

環境大臣賞

東洋ライス株式会社

とぎ汁が一切出ないBG無洗米の生産でヘドロやCO2排出量を削減

文部科学大臣賞

山陽女子中学校・高等学校 地歴部

瀬戸内海の海底ごみ問題の解決に向けての取り組み

国土交通大臣賞

森ビル株式会社

見える化を活用したテナントビルにおける空調デマンドレスポンス制御

農林水産大臣賞

カルピス株式会社

微生物資材「サーベリックス」による循環型農業プロセスの開発

日本経済団体連合会会長賞

住友ゴム工業株式会社

世界初となる100%石油外天然資源タイヤの開発

フジサンケイグループ賞

株式会社セブン&アイ・ホールディングス

環境に配慮した包材を使ったプライベートブランド(PB)商品の拡充

特別賞

CONTRAILプロジェクトチーム(代表 日本航空)

航空機による大気観測・CONTRAILプロジェクト

特別賞

任意団体 アニマルパスウェイ研究会

アニマルパスウェイの研究・開発と普及で樹上性野生生物を保全

第24回地球環境大賞 受賞内容

大賞トヨタ自動車株式会社

「燃料電池自動車(FCV)の『MIRAI』を開発、販売」

セダンタイプの新型燃料電池自動車(FCV)「MIRAI」を開発、販売を開始した。FCVは燃料電池で発電した電気を使ってモーターを動かし、走行する。「自動車用燃料の多様化に対応」「走行中にCO2や環境負荷物質を排出しない」「現状のガソリンエンジン車と同等の利便性」を兼ね備えており、サステイナブルなモビリティ社会の実現に貢献する究極のエコカーとしての高いポテンシャルがある。同社は1992年から20年以上にわたりFCVの開発に取り組んでおり、FCスタックや水素を貯蔵する高圧タンクを中心とするFCシステムを自社開発。グループ各社において、燃料電池バス、家庭用燃料電池、燃料電池フォークリフト等の技術開発にも取り組んでいる。FCVは、高度な技術開発力に加え、材料技術、加工技術を必要とするため、部品メーカーも含め、日本のものづくりの技術で世界をリードする可能性がある。FCV普及のため、導入初期段階で、単独で保有している約5,680件の燃料電池関連の特許実施権を無償で提供することも決めている。地球上のどこにでも存在する水素は、単にクルマの燃料としてだけでなく、持続可能な社会を構築する上で大きな可能性を秘めている。CO2フリーの水素がもっと社会に取り込まれ溶け込むようになれば、クリーンな社会が実現できる。FCVが普及すれば低炭素社会の構築にも大きく貢献でき、災害時には給電設備の役割もできる。

経済産業大臣賞東レ株式会社

「新興国の砂漠・荒廃地の緑化・農地化システム」

気候変動による降雨不足、鉱山残土等が引き起こす砂漠化や土壌劣化は、対応技術基盤が脆弱な新興国において食糧不足や砂塵公害などの深刻な問題を引き起こしている。同社はポリ乳酸(PLA)製のロールプランターを使って手間も時間も掛けずに緑地や農地を作るシステムを開発。経産省、国連開発計画の援助を受けて南アフリカで実証実験を行なった。PLAを使用したロールプランターは、筒状に編まれた生地の中に現地の砂や土を入れ、平行に並べるだけで簡単に植生基盤を作ることができる。種はロールプランターの間に蒔く。日本では屋上や校庭緑化の植生基盤として実績があり、生分解性機能によって使用後5~10年で水と炭酸ガスに分解されるため、環境に負荷を与えない。気候変動の影響を受ける新興国が積極的に取り組み易い課題解決型技術である。

環境大臣賞東洋ライス株式会社

「とぎ汁が一切出ないBG無洗米の生産でヘドロやCO2排出量を削減」

「技術を通じて、社会に高度の貢献をする」ことを基本理念に、無洗米のパイオニアメーカーとして、BG無洗米を通じ全部門が協力し、継続的な環境保全活動に取り組んでいる。米のとぎ汁にはヘドロの原因となる沈殿物が大量に含まれ、下水処理場を通らない水域では、やがてヘドロ化する。とぎ汁には油、リン、窒素も大量に含まれ、水質を汚染している。同社は1991年世界初のとぎ汁が一切出ないBG無洗米を発明。1992年度から2012年度までの21年間で延べ538万4,501tのBG無洗米を生産。とぎ汁起因のヘドロは19万3,842t削減、とぎ汁を下水処理場で処理するために発生するCO2排出量では33万3,839t削減したことになる。また2012年以降、BG無洗米製造時に産出する副産物「米の精」(肥料)を活用して健康で美味な作物づくりと多くの生き物であふれる土作りを行う、子供向けの体験型環境教育推進プログラム「いきものみっけファーム」に取り組んでいる。

文部科学大臣賞山陽女子中学校・高等学校地歴部

「瀬戸内海の海底ごみ問題の解決に向けての取り組み」

海底ごみの回収、啓発活動に中学生と高校生が取り組む先駆的で実践的な活動をしている。環境問題の解決過程は「知る」「理解」「行動」である。同校地歴部では13,000t以上のごみが堆積するといわれる瀬戸内海の海底ごみ問題の解決に向けて、海底ごみ問題の実態を知り、原因や解決策を考え、解決に向けた回収活動と同時に発生量の減少を目指した啓発活動に取り組んでいる。具体的には2008年度から年6-8回、漁船でのごみ回収を継続。回収活動には多くのメディアに同行してもらい、情報発信による啓蒙につなげている。2013年度はスウェーデンとトルコの国際会議へ参加し、世界へ向けて地歴部の活動と研究成果について報告した。活動をさらに進展させるため「海底ごみの見える化プロジェクト」を掲げ、海底ごみ問題を分析し可視化することに取り組み、人と海底ごみとの距離を縮め、意識や行動の変化を促すことに大きな成果を得ている。

国土交通大臣賞森ビル株式会社

「見える化を活用したテナントビルにおける空調デマンドレスポンス制御」

業務用テナントビルにおいて、オーナー等が管理する共用部のみならず、従来困難であったテナント専用部における電力デマンド抑制について、その実現可能性を調査検討したもの。対象ビル2棟の空調システムについて、テナント毎に空調制御できるよう再構築し、テナント毎の電力ピーク抑制目標値を定め、実績値がそれに近づいた段階でテナントにデマンド警報メールを配信の上、省エネ運転を実施し、協力するテナントには、社員に各種優待券等を進呈する方法で、空調のデマンドレスポンス制御を行った。その結果、夏季、冬季ともに最大で20%の空調電力ピーク削減を実現した。今後、他のテナントビルに普及することでさらなるピーク抑制、省エネルギー効果が期待できる。また、同社が管理するオフィスビルのCO2排出量を全体で28%低減(2013年度実績、2006年度比)しており、森ビル施設46棟におけるライトダウンキャンペーンの実施、アークヒルズ仙石山森タワー及び虎ノ門ヒルズにおける屋上の太陽光発電装置設置等にも取り組んでいる。

農林水産大臣賞カルピス株式会社

「微生物資材『サーベリックス』による循環型農業プロセスの開発」

焼却処分されていた食品廃棄物について、枯草菌C-3102株を含有する微生物資材「サーベリックス」を用いた微生物発酵によって95%以上の減量率で減量化し、好気性菌による高温発酵によって良質な堆肥の作製を実現、その堆肥を農地に施用することで作物生産における収量増加を期待できる――という循環型農業の推進技術を開発した。サーベリックスによる微生物発酵技術の普及が進むことで、減量化により食品廃棄物の焼却・埋立て処分量が削減されるとともに、堆肥を使用した有機農業が推進されることで循環型社会の形成に貢献し得る。実際、カット野菜工場から排出される野菜屑等の食品廃棄物をサーベリックスで95%以上の減量率で減量化しできた堆肥を農地で使ったところ、ダイコンは51%、ニンジンは43%、収量が増加した。本技術は、微生物による発酵技術を利用したものであり、高度な機器等を使用しないため、技術的な障壁は低く、アジア・アフリカ等の発展途上国においても、容易に導入され得るものと考えられる。

日本経済団体連合会会長賞住友ゴム工業株式会社

「世界初となる100%石油外天然資源タイヤの開発」

世界のタイヤ需要は年々増加、2020年には年間約20億本になると推定され、地球温暖化や化石燃料枯渇などの環境問題への対応はタイヤメーカーとして急務となっている。同社は、タイヤ原材料の主流である化石資源に依存しない石油外天然資源タイヤの開発に2001年から取り組み、2013年11月に世界初となる100%石油外天然資源タイヤ「エナセーブ100」を発売した。タイヤに要求される低燃費性能はもちろん、ウエットブレーキ性能、乗り心地性能などの基本性能を向上するとともに、耐摩耗性能を同社従来品に比べ19%向上させ、「省資源」という新たな環境性能を付加した商品となった。開発で採用したのは置換え技術。石油や石炭などの「化石資源」を「天然資源」に置換える「天然置換え」をはじめ「改質置換え」「創生置換え」などを行なった。また合成ゴムと天然ゴムの製造エネルギーはそれぞれ天然ゴム16MJ/kg、合成ゴム130MJ/kgのため、一本あたり(130-16)MJ/kg×2kg=228MJの省エネルギーとなっている。

フジサンケイグループ賞株式会社セブン&アイ・ホールディングス

「環境に配慮した包材を使ったプライベートブランド(PB)商品の拡充」

同社とセブン-イレブン記念財団がセブンの森プロジェクトとして森林整備費を拠出している「セブンの森」(長野県等14カ所)。その間伐材(全国森林組合連合会の間伐材マークの使用認定済み)を含む、30%以上の国産木材を使用した紙製飲料容器"カートカン"を使ったオリジナル飲料商品と、グループ4社が店頭ペットボトル自動回収機等で回収したペットボトルからリサイクルした素材を含むフィルム容器を使った生活家庭用品(ボディソープ)など7アイテムを2014年8月以降順次発売。小売業ならではの「商品」に着目し、グループを起点とした取り組みから循環型サイクルを構築している。顧客への環境問題に関する啓発に寄与している。間伐材の有効活用から森林保全にもつながる活動である。

特別賞CONTRAILプロジェクトチーム(代表 日本航空)

「航空機による大気観測・CONTRAILプロジェクト」

1993年から航空機を利用した大気観測に取り組んできた。参加組織は日本航空(JALグループ)、国立研究開発法人国立環境研究所、気象庁気象研究所など5団体。従来、上空の大気観測は比較的小型のチャーター航空機を用いてきたが、費用や機体性能の面から、観測頻度、観測範囲は限られていた。定期的に広範囲を運航する国際定期旅客便に上空大気の自動観測装置を搭載すれば、広範囲で高頻度の観測が実現することから、JALがこの観測に協力することになった。ボーイング747型機への観測機器搭載に始まり、現在は同777型機9機による観測体制を整え、世界の空で高頻度の温室効果ガス観測を継続実施している。2005年から始まった二酸化炭素の定常観測は世界初の取り組みで、世界の上空における観測データを増やすことに成功。観測で得られる温室効果ガスの広範囲にわたる3次元分布とその長期変動データは、地球規模での炭素循環の解明を通して地球温暖化予測の高精度化に寄与するとともに、国内外の研究機関に広く活用され、この分野での最先端の研究を支えている。

特別賞任意団体 アニマルパスウェイ研究会

「アニマルパスウェイの研究・開発と普及で樹上性野生生物を保全」

2004年(財)キープ協会やまねミュージアム館長湊秋作氏と清水建設、大成建設が任意団体「アニマルパスウェイ研究会」を創設。実証実験を経て、樹上性野生動物の保全のためのアニマルパスウェイを開発。以降、研究・開発・普及活動を継続中。同研究会の手法は既存手法に対し10分の1の低コスト(約200万円~350万円)を実現。2007年度土木学会環境賞、2010年第1回いきものにぎわい企業活動コンテストで環境大臣賞、2013年度日経地球環境技術賞優秀賞を受賞した。現在は東日本電信電話、エンウィット、ニホンヤマネ保護研究グループなどが参画し、同研究会は3団体、7社で構成され、大学や研究者など外部連携先も拡大。2013年度には児童向け絵本の制作、定例的なアニマルパスウェイ情報交換会やシンポジウムを実施。2014年度はアニマルパスウェイ設置適地の候補地を絞り込むため地理情報システムによるデータベース構築を試行。事務局の一つである(一社)アニマルパスウェイと野生生物の会としてアニマルパスウェイの開発・普及活動が「国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)」認定連携事業に決定した。

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