受賞者について

第25回地球環境大賞 受賞者

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地球環境大賞

東京急行電鉄株式会社

二子玉川ライズ 環境認証評価LEED「まちづくり部門」で世界初のゴールド認証を取得

経済産業大臣賞

YKK AP株式会社

「樹脂窓」の普及を通じ、地球環境に優しい快適な住環境の実現を提案

環境大臣賞

株式会社 伊藤園凸版印刷株式会社

リサイクルができるアルミレス紙パック飲料容器の開発

文部科学大臣賞

特定非営利活動法人千葉大学環境ISO学生委員会

学内活動で得た環境マネジメントシステムの知識や経験を地域へ還元

国土交通大臣賞

ヒューリック株式会社

都市型テナントビルにおける自然採光・自然換気システムの導入

農林水産大臣賞

アサヒグループホールディングス株式会社

酵母細胞壁が植物の生理活性を向上させる機能の発見から新たな農業資材を開発

日本経済団体連合会会長賞

ECM共同研究開発チーム(代表:株式会社 竹中工務店)

ECM(エネルギー・CO2 ミニマム)セメント・コンクリートシステムの開発

フジサンケイグループ賞

KDDI株式会社東京大学九州工業大学

絶滅危惧種である野生のカワイルカを水中音響技術の応用で生態観測

奨励賞

伊藤忠商事株式会社

全社活動として「朝型勤務制度」を導入 電力使用量、CO2排出量を削減

奨励賞

特定非営利活動法人再生可能エネルギー協議会

国際会議・展示会を通じた再生可能エネルギーの啓発・技術向上への取り組み

第25回地球環境大賞 受賞内容

大賞東京急行電鉄

二子玉川ライズ 環境認証評価LEED「まちづくり部門」で世界初のゴールド認証を取得

東急グループの力を結集し、30年にわたる再開発事業で完成した複合施設「二子玉川ライズ」(東京都世田谷区)で豊かな周辺環境と調和したまちづくりを実現。2015年11月に、環境に配慮したまちづくりや建築物などに与えられる世界的な環境認証評価LEEDの「まちづくり部門」で世界初となるゴールド認証を取得した。二子玉川ライズは、環境への影響を最小限にするだけでなく、地域の生態系と共生する環境づくりに力を入れ、長期的な環境保全に向けて継続的に努力。道路や建物などのインフラ整備においても最新の環境配慮建築の設計手法に基づき、エネルギーや水消費、CO2排出削減などグリーンビルディングに取り組んでいる。

※LEED(Leadership in Energy and Environmental Design) 米国グリーンビルディング協会が所管する環境性能評価指標。エネルギー効率に優れ、持続可能な建築物を普及することを目的に、世界150ヵ国以上で取り入れられている。

経済産業大臣賞YKK AP

「樹脂窓」の普及を通じ、地球環境に優しい快適な住環境の実現を提案

生活者視点でのモノづくりにこだわり、家庭やオフィスのエネルギー削減に向けて遮熱、断熱、通風など省エネ機能を高めた商品を積極的に開発。地球環境に優しい快適な住環境を創り出している。住宅における最大の熱の出入り口である「窓」の断熱性を高めることで、冷暖房使用を抑えつつ健康で快適に過ごす「小エネ(ローエネ)」な暮らしを提案。圧倒的な断熱性能と高い環境性能を兼ね備えた樹脂窓シリーズ(APW330、APW430)の開発で大きな冷暖房エネルギー削減効果を実現した。アルミ窓(複層ガラス)を樹脂窓に替えると45%のエネルギー削減となり、原子力発電所3.4基分、一般家庭の約680万戸分に相当する。樹脂窓の普及を2020年までに市場の30%にすることを目標に掲げている。

環境大臣賞伊藤園・凸版印刷

リサイクルができるアルミレス紙パック飲料容器の開発

長期保存のため素材の一部にアルミ箔を使用している 従来の「レンガ型紙パック飲料容器」は、容器リサイクルの際には紙とアルミ箔の分離が必要だが、その多くがごみとして廃棄されている。そこで食品のパウチ包装などに使用されていた「GLフィルム」に着目。約4年の開発期間を経て、常温流通が可能で牛乳などの紙パックと同じリサイクルができるアルミレス紙パック飲料容器を開発した。これにより、特殊なリサイクル設備投資が不要となり、アルミ包材処理工場までの廃棄物輸送費用の削減にもつながる。この容器を使った製品は約2540万本(2014年度実績)を数え、重量にして約81トンの紙パック容器が新たにリサイクルされる計算。紙パックリサイクル率の向上が期待できる。

文部科学大臣賞特定非営利活動法人 千葉大学環境ISO学生委員会

学内活動で得た環境マネジメントシステムの知識や経験を地域へ還元

2003年の創設以来、学内の環境マネジメントシステムの構築と運用の中核を担っている。09年にNPO法人格を取得。理事長と理事長以下の役職が学生で構成される先例の少ない団体を設立した。千葉大学は13年に全国の大学では初となる「ISO50001」を取得するなど環境への取り組みを積極化しており、同委員会も年々、活動の枠を広げている。具体的には①「標準化教室事業」(主に小中学生を対象に、近隣校で標準化や環境ラベルに関する出前授業を実施)②地域の自然を地域の人々とともに保全し、自然と共存する「植樹・里山事業」(里山整備・維持等を実践)③環境に配慮した組織をサポートする「環境コンサルティング事業」(企業や他団体の環境報告書作成支援等)を展開している。15年10月現在、約130名の学生が所属。

国土交通大臣賞ヒューリック

都市型テナントビルにおける自然採光・自然換気システムの導入

温室効果ガスの排出抑制や省エネルギーをCSRの重要課題に位置づけ、環境技術の向上に積極的に挑戦。米マサチューセッツ工科大学(MIT)と共同研究した「自然採光システム」および「自然換気システム」を実際の建物に導入している。自然採光システムと、昼光センサーなどを利用した照明制御との組み合わせによって照明消費電力を38%低減。自然換気システムでは空調設備として1年間で32%の省エネ効果が確認された。2020年までに1990年比でCO2排出量を保有ビル全体で25%削減することを目標にしているほか、CO2排出量原単位の削減率や再生可能エネルギー設備投資件数、保有ビルの緑化件数、廃棄物排出量削減率などにKPI(重要業績評価指標)を掲げ、取り組んでいる。

農林水産大臣賞アサヒグループホールディングス

酵母細胞壁が植物の生理活性を向上させる機能の発見から新たな農業資材を開発

約10年にわたる研究の結果、ビール醸造副産物である酵母細胞壁が植物の生理活性を向上させる機能を有することを発見し、これを低分子化することで植物に効きやすい、新たな農業資材を開発した。これを国内の生産者に利用してもらったところ、水稲、馬鈴薯、小麦、大豆で増収効果(概ね2割以上)が認められ、水稲では増収の結果、収穫量当たりの温室効果ガス排出量を減少させることも分かった。また、酵母細胞壁の主成分(β-グルカン)は、植物に病原菌に感染したと勘違いをさせて免疫力を高める、プラントアクティベータとしての役割を果たすことが明らかとなったことから、化学農薬の使用回数を減らすことができるなど環境保全型農業の推進が期待できる。さらに、発根促進作用も確認されていることから日照不足等の悪環境下でも安定した農作物の生産が期待できる。

日本経済団体連合会会長賞ECM共同研究開発チーム(代表:竹中工務店)

ECM(エネルギー・CO2 ミニマム)セメント・コンクリートシステムの開発

研究開発チームは竹中工務店、鹿島建設、東京工業大学、日鉄住金高炉セメント、デイ・シイ、日鉄住金セメント、太平洋セメント、竹本油脂で構成。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)の助成のもと、鉄鋼製造副産物の高炉スラグ微粉末を60~70%混合する「ECMセメント」を開発すると同時に、コンクリート・地盤改良体構造物へ使用する汎用的な建設技術システムを構築した。「ECMセメント」は環境性能に優れる一方で、長期耐久性や安定性など検証すべき課題があったが、今回の研究で従来セメントの製造時のCO2排出量を6割以上削減。ECMセメントを用いたコンクリート構造体、地盤改良体の開発により従来構造物より3~6割のCO2削減が可能となった。2020年から開発成果を段階的に公開し、25年には一般公開する。事業化と市場の確立が実現できれば、年間1000万トンの供給可能量に対し、 20年には利用量110万トン(45万t-CO2削減)、30年には440万トン(180万t-CO2削減)までの普及拡大を予想。

フジサンケイグループ賞KDDI・東京大学・九州工業大学

絶滅危惧種である野生のカワイルカを水中音響技術の応用で生態観測

海底ケーブル点検用に開発した水中ロボットの音波・音響技術を使い、インド・ガンジズ河に生息する絶滅危惧種「野生のカワイルカ」の生態観測を、世界自然保護基金(WWF)および地元のインド工科大学(IIT)と共同で実施。絶滅危惧種の生態が徐々に明らかになる一方、活動が評価され、同じ問題を抱える他の国からも調査依頼を受け、現在2ヵ国で調査を継続している。同社が関与しなくても自立して調査ができるよう、関係者への教育活動も同時に行なっている。本活動は、社会貢献活動の一環として、生物多様性保全に貢献するものであり、同調査で活用された音波・音響技術はグループ内のKDDI研究所の最先端技術において新たな応用が可能となった。

奨励賞伊藤忠商事

全社活動として「朝型勤務制度」を導入 電力使用量、CO2排出量を削減

夜型の残業体質から朝型の勤務へと改める「朝型勤務制度」を2014年5月から全社活動として導入。業務を効率化し夜間の残業を減らすことで、電力使用量の削減やCO2の排出削減を図るのが目的。具体的には、国内勤務社員約2600名に深夜勤務(22時~5時)の「禁止」および20~22時勤務の「原則禁止」を課す。やむを得ず20時以降勤務が必要な場合は事前申請の上、認めている。一方、早朝勤務時間(5~8時)は、深夜勤務と同様の割増し賃金を支給。8時前始業社員に対し、軽食を支給する。制度導入の成果として、20時以降の残業者が30%から7%に減り、朝8時以前の出社が20%から34%に増加。東京本社での電気使用量は約6%削減され、CO2排出量は約7% (年間約370t)削減となった。

奨励賞特定非営利活動法人 再生可能エネルギー協議会

国際会議・展示会を通じた再生可能エネルギーの啓発・技術向上への取り組み

再生可能エネルギーに関する横断的技術系会員で構成。2006年に日本で開催した「再生可能エネルギー2006国際会議・展示会」の成果を受け、「先進的・先端的技術を通して,地球規模の持続性への道しるべを探求しよう」をスローガンに07年に任意団体として発足。16年1月に特定非営利活動法人となった。12大分野(政策・統合概念、太陽光発電、太陽熱利用、環境建築、風力、バイオマス、水素・燃料電池、海洋エネルギー、地熱・地中熱、エネルギーグリッド・パワエレ、省エネ・ヒートポンプ、中小水力・未利用エネルギー)を包含。毎年、専門家・学生・産業界・市民層を対象とした国際展示会・フォーラム、4年毎に国際会議を開催しており、現在では一般用語となっている「再生可能エネルギー」という呼び名の普及・定着に大きな役割を果たした。

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