フジサンケイビジネスアイの鶴田東洋彦社長から賞状を受け取る、あいおいニッセイ同和損害保険の金杉恭三社長(左)=1日、東京都渋谷区 第29回「地球環境大賞」(主催・フジサンケイグループ)の大賞に選ばれたあいおいニッセイ同和損害保険に対する贈呈式が1日、東京都渋谷区の同社本社で行われ、金杉恭三社長に大賞の賞状とトロフィーが手渡された。 同社は、自然災害発生時の被害状況などを予測・発信する「cmap.dev(シーマップ)」をエーオンベンフィールドジャパン(現エーオングループジャパン)、横浜国立大学との産学協同研究で実現。防災・減災に貢献できる点などが高く評価された。 贈呈式には金杉社長のほか、協同研究者であるエーオングループジャパンの谷水克哉社長、横浜国立大学の筆保弘徳教授も出席。金杉社長は「巨大台風などに伴う自然災害が多発している。このシーマップを多くの人が活用し、防災・減災に役立てていただけたら幸いです」と述べた。 第29回「地球環境大賞」は当初、4月8日に授賞式を行うことにしていたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止を決定。受賞企業を訪れ、賞状とトロフィーを贈呈することにしている。 大規模化する自然災害への対応鮮明に第29回「地球環境大賞」は、気候変動が要因とみられる近年の大型台風などの自然災害などへの対応が各界で進んでいることを浮き彫りにしている。 グランプリにあたる大賞に選ばれたあいおいニッセイ同和損害保険は、自然災害発生時の被災状況などを市町村ごとにリアルタイムで予測、ウェブサイト「cmap.dev(シーマップ)」で公開している。シーマップは、台風や豪雨など気候変動を起因とする自然災害の大規模化・激甚化に対応、被災した建物の棟数や被災率をリアルタイムで予測することから、住民による避難行動や自衛隊などによる迅速な救助・支援活動に役立つ。エーオンベンフィールドジャパン(現エーオングループジャパン)、横浜国立大学との産学協同研究の成果で、過去の台風や地震のシミュレーションも表示する機能があり、地域の防災・減災活動に貢献できる点も高く評価された。 経済産業大臣賞は、熱を使わない独自のインクジェット技術を基盤に、最小限の環境負荷で社会に必要な機能を提供しているセイコーエプソン、環境大臣賞はライフライン途絶といった非常時でも自立的にエネルギー供給ができる住宅を実現した積水化学工業が受賞した。 また、農林水産大臣賞は間伐材を活用して木のストローの量産化に取り組むアキュラホームが、国土交通大臣賞には都心の緑地を活用し子供たちへの環境教育に力を入れている森ビル、文部科学大臣賞には岐阜大学がそれぞれ選ばれた。 ケミカルリサイクルによる低炭素・水素社会の実現に取り組む昭和電工が経団連会長賞、人工衛星「いぶき」シリーズで地球の温室効果ガス濃度の観測に貢献している三菱電機がフジサンケイグループ賞に輝いた。 秋篠宮殿下のお言葉前回となる第28回地球環境大賞授賞式でお言葉を述べられる秋篠宮皇嗣殿下=2019年4月22日、東京・元赤坂の明治記念館 第29回「地球環境大賞」の各賞を受賞された方々に心からお祝いを申し上げます。 本年は、COVID-19の状況に鑑み授賞式の開催が中止となりました。例年は授賞式の際、皆様が行われている取り組みについてお話を伺っておりましたが、本年は、そのような機会を持つことができないことを大変残念に思います。 過日、主催者から本年の大賞をはじめとする各賞の内容を伺いました。受賞された皆様の取り組みは、気候変動に伴う災害への対応や温室効果ガスの排出削減、廃棄物の再資源化など、地球環境の保全や変化する自然環境との共存に大きく寄与するものであり、ここに皆様のご努力にたいし、深く敬意を表します。 地球温暖化の防止や生物多様性の保全、廃棄プラスチックによる海洋汚染など、環境諸問題に対する人々の関心や意識が年を追って高まり、グローバルな広がりを見せる中、近年、気候変動が大きな要因とみられる自然災害が世界各地で数多く発生しています。本年もわが国では「令和2年7月豪雨」により、熊本県をはじめ全国各地で大きな被害が生じました。地球環境に関わるこれらの問題を考えるとき、私たちは自然環境の保全とともに防災や減災についての意識を高め、いかにして自然と共存し諸課題解決に向けた方途を探求していくか、その必要性を強く感じます。 今年で29回目を迎えた地球環境大賞は、環境を守りながら発展する産業や、持続可能な循環型社会の実現に寄与する製品・技術の開発など、環境保全の取り組みを顕彰することで、社会に貢献することを目的として創設されました。そして、その活動は産業界に始まり、自治体、学校、市民グループへと表彰の対象を広げ、環境保全と災害への対応に熱心に取り組む人々を広く顕彰することによって地球環境の保全、人々の環境意識を高めることに貢献してきました。 国連の持続可能な開発目標、いわゆるSDGsや、COP21において採択された温暖化防止のための「パリ協定」が注目される中、今後とも、わが国は優れた環境関連技術や知識をもって世界に貢献していくことが求められましょう。その意味でも持続可能な経済・社会づくりのために、国際社会のモデルとなるような優れた実績を積み重ねていくことは、誠に意義深く大切なことと考えます。 最後になりますが、受賞者をはじめとする皆様が、これまでにも増して温暖化の防止など地球環境の保全や自然との共存に積極的に取り組んでいかれることを期待するとともに、その活動がより一層広がりを見せることを祈念し、お祝いの言葉といたします。 受賞 喜びの声■大賞金杉恭三・あいおいニッセイ同和損害保険株式会社代表取締役社長 「地球環境大賞」において大賞をいただき、誠に光栄に存じます。私どもは「先進性」「多様性」「地域密着」を追求し、社会の様々な課題解決に貢献していくことに注力しています。今後も「cmap」のような世の中の皆さまのお役に立つことのできる商品・サービスの開発に努め、持続可能な社会の実現に向け貢献してまいります。 ■経済産業大臣賞碓井稔・セイコーエプソン株式会社取締役会長 独自のインクジェット技術を用い、環境負荷を徹底的に低減した製品や生産プロセスを高く評価していただき、誠に光栄に存じます。今後も社会課題の解決と持続可能な社会の実現に向け弛まぬ努力を続けてまいります。 ■環境大臣賞加藤敬太・積水化学工業株式会社代表取締役社長 平常時は省創蓄エネによりCO2を削減し、自然災害でのライフライン途絶時は生活維持を目指す住宅を高く評価頂き誠に光栄に存じます。今後も進化・普及を継続し住生活からの地球温暖化防止を先導して参ります。 ■文部科学大臣賞森脇久隆・国立大学法人岐阜大学学長 産官学連携により八百津町で実施中である「中山間地域での地産地消型地域エネルギーシステム」の社会実装試験を高く評価いただき、光栄に存じます。今後も教育・研究・社会貢献の分野で、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 ■国土交通大臣賞辻慎吾・森ビル株式会社代表取締役社長 ヒルズを舞台に2007年から展開してきた「ヒルズ街育プロジェクト」を高くご評価いただき、誠に光栄に存じます。今後も、未来を担う子どもたちとともに、地球環境問題の解決に資する、より良い未来の環境都市づくりに邁進してまいります。 ■農林水産大臣賞宮沢俊哉・株式会社アキュラホーム代表取締役社長 この度は誠に光栄に存じます。間伐材を利用したカンナ削りの木のストローは、森を守り、結果的にCO2を削減し、さらに廃プラ問題まで解消できるアイテムと評価いただいております。今後は世界中の人にこのストローを知っていただき、さらに地球環境に貢献してまいります。 ■日本経済団体連合会会長賞森川宏平・昭和電工株式会社代表取締役社長 使用済プラスチックのケミカルリサイクルによる低炭素な化学品原料化・資源循環事業が環境負荷低減に資すると高く評価いただき、光栄に存じます。今回の受賞を励みに、低炭素・水素社会の実現に向けて積極的な事業活動を展開してまいります。 ■フジサンケイグループ賞杉山武史・三菱電機株式会社執行役社長 人工衛星「いぶきシリーズ」の設計・製造を通じた環境保全に関する弊社の取り組みと成果を高く評価いただき、大変光栄に存じます。今後も弊社の「ものづくり力」を活かし、地球環境の保護と持続可能な未来の実現に貢献してまいります。 ■奨励賞佐光正義・大王製紙株式会社代表取締役社長 プラスチック代替素材である高密度厚紙「エリプラペーパー」の開発・提供による環境への取り組みを高くご評価いただき、誠に光栄に存じます。経営理念「世界中の人々へやさしい未来をつむぐ」のもと、今後も持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 ■奨励賞越智晶・リファインバース株式会社代表取締役社長 廃棄漁網を中心としたナイロンリサイクル事業の取り組みを評価いただき、大変光栄に存じます。今後もナイロンリサイクルのみならず、様々な廃プラスチックの循環利用、海洋プラスチックの削減といったサーキュラー・エコノミーの促進に貢献してまいります。 |
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