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第27回先端技術大賞 NECの岩元さんら表彰

(2013/7/23 東京・元赤坂 明治記念館)

レセプションで高円宮妃久子さまに研究内容を説明する経済産業大臣賞を受賞したNECの岩元浩太さん(左)=23日、東京・元赤坂の明治記念館

優れた研究成果をあげた理工系学生や企業・研究機関などの若手研究者を表彰する「第27回独創性を拓く先端技術大賞」(主催・フジサンケイビジネスアイ、後援・文部科学省、経済産業省、フジテレビジョン、産経新聞社、ニッポン放送)の授賞式が23日、高円宮妃久子さまをお迎えし、東京・元赤坂の明治記念館で開かれた。

式典では東京工業大学大学院の顧暁冬(グゥ・シャオドン)さんに、学生部門のグランプリに相当する「文部科学大臣賞」の表彰状が授与された。

高精度の映像識別技術「ビデオシグネチャ」の研究開発に取り組んだNECの岩元浩太さんには、企業・産学部門の最高賞「経済産業大臣賞」の賞状が贈られた。

このほか、次世代材料や環境関連技術、生体再生技術などに関する9件の研究についても顕彰した。

審査委員長を務めた科学技術振興機構顧問の阿部博之・東北大学名誉教授は「未来への夢を与えるとともに、世界が抱える問題の解決や、国力の増強、持続可能な人類社会の創造といった課題に取り組むためにも、科学技術の発展は必要不可欠」と指摘。「科学技術を志す若い研究者の方々には、世界を舞台に、さらに活躍してほしい」とエールを送った。

■高円宮妃久子さま お言葉

高円宮妃久子さま

本日、「第27回先端技術大賞」の授賞式が盛大に開催され、皆様とご一緒できましたことを大変うれしく思います。また、この度、受賞された皆様、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。

今回も若い研究者の斬新な発想と力強い信念、熱い心を強く感じました。科学技術がめざましい進歩を続ける現代において既成の概念にとらわれることなく、多角的な側面から果敢にチャレンジしていく柔軟な頭脳、独創性あふれる思考能力には感心するばかりです。

また、過去の研究の成果をいかし、人間社会において役立つさまざまな形に製品化された研究者、開発者の創意工夫にも、心より敬意を表します。

日本の先端技術の研究開発は、世界にも高く評価されており、わが国を守り、明るい将来を築くためにも、先端技術の研究開発は重要です。

科学技術がめざましい進歩を続け、研究が高度になった現代においても、解明を待つ研究領域があまたあり、その必要性や合理性、そして研究開発の将来性などを冷静に分析して、長期的な投資としてとらえることが重要でありましょう。

先端技術は国力を意味し、国民の安全や健康、生活を守ります。戦後の私たちは、安全で豊かに暮らす幸せを当たり前と考えがちですが、諸外国と日本との関係は、力関係あっての友好関係であるという意識改革が必要です。平和は勝ち取るものであって、努力なしにそこにとどまって得るものではありません。

世界の国々との関係において、日本がどのように立場を確立しているか、その現実を理解し、刻一刻と変わる各国の動きと、それと連動する他国の動きをしっかり見つめつつ、総合的に適切な判断が冷静にできる、そのような国際人の育成に力を入れる必要があります。

また、独創的な科学技術分野の研究開発の重要性は申すまでもありませんが、それを実用するとき、人間の資質が問われます。

私たちは家庭や教育の現場、そして社会において、将来を背負ってたつ若者を、しっかりとした理念をもつ人間に育てていく責任があります。

ご出席の先生方、企業や新聞社の方々には、将来を担う人間の育成、それとともに、そのような若者を育てる土壌としての国づくりに力を尽くしていただきたいと思います。

本日は、科学技術の素晴らしさに改めて思いを致す機会をいただき、ありがとうございました。皆様の研究がさらに充実、発展していくことを心より願い、また今後のご活躍を祈念して式典に寄せる言葉といたします。


高円宮妃久子さま(前列中央)を囲み、記念撮影に収まる先端技術大賞の受賞者。
前列左端は阿部博之・審査委員長=23日、東京・元赤坂の明治記念館

授賞式 映像不正コピー対処「実用化進める」

授賞式では、理化学研究所・計算科学研究機構の平尾公彦機構長が「スーパーコンピュータ京(けい)が拓く科学技術の未来」と題した講演を行った。

京の持ち味は、高度なシミュレーションを行える点。平尾氏は、将来発生が予想される南海トラフ地震などで重要な役割を果たすと強調し、「信頼性と公開性を高めることが重要。京の威力を最大限に引き出し、京を使い倒すことによって国際社会の期待に応えたい。これから真価が問われる」と述べた。

授賞式に続いて開かれた記念レセプションには約200人が出席。高円宮妃久子さまは各受賞者の成果を紹介したパネルを丹念に回り、熱心に説明に耳を傾けられていた。

経済産業大臣賞を受賞したNECの岩元浩太さんらが取り組んだのは、映像の不正コピーに対処できる技術。久子さまからは「これから説明しようとした部分について、先回りするような形で質問をいただいた」という。岩元さんは受賞を機に「実用化を進め、世の中に広げていきたい」と改めて誓っていた。一方、文部科学大臣賞を受賞した東京工業大学大学院の顧暁冬さんは「とても緊張したが、うまく説明できた」と語った。

産経新聞社賞を受賞した富士フイルムは、遮熱技術を施したガラス越しにライトの光を体感できる試験機を用意した。久子さまは手を入れ、熱の遮断効果に驚きながら今後の用途開拓に期待を寄せられていた。

フジサンケイビジネスアイ賞を受賞した産業技術総合研究所は、氷を利用してダイヤモンドの熱伝導性をアピール。その技術が風力発電システムの小型化につながることを説明。竹内大輔さんは「熱心に聞いていただいた」と感激した様子だった。

一方、特別賞を受賞した富士電機は、微小粒子物質の「PM2.5」の分析技術を紹介。より高度な対策を実現できる点が売り物で、武田直希さんは「今後、自治体に向けて実機を持ち込んで性能を実証したい」と意気込んでいた。

また佐賀大学の北垣浩志准教授は、日本酒の需要が伸び悩んでいるのは高アルコール濃度と指摘。今回の受賞対象となった技術が、濃度を低くしたときに生じるにおいの問題を改善し、低アルコール清酒の普及につながると語っていた。

■第27回先端技術大賞受賞者

◆学生部門

文部科学大臣賞=顧暁冬(東京工業大学大学院)▽フジテレビジョン賞=石井智(パデュー大学)▽ニッポン放送賞=白木川奈菜(九州大学大学院)▽特別賞=小嶋隆幸(東北大学大学院)、大島一真(早稲田大学大学院)

◆企業・産学部門

経済産業大臣賞=日本電気(NEC)(代表者・岩元浩太)▽産経新聞社賞=富士フイルム(代表者・清都尚治)▽フジサンケイビジネスアイ賞=産業技術総合研究所(代表者・竹内大輔)▽特別賞=佐賀大学(代表者・北垣浩志)、情報通信研究機構(代表者・東脇正高)、富士電機(代表者・武田直希)=敬称略



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