第28回先端技術大賞 東工大大学院・中濱さん、NEC・山崎さんら表彰(2014/7/31 東京・元赤坂 明治記念館) レセプション会場で受賞関係者から研究展示の説明を受けられる高円宮妃久子さま=31日、東京・元赤坂の明治記念館 優れた研究成果をあげた理工系学生や企業・研究機関などの若手研究者を表彰する「第28回 独創性を拓く 先端技術大賞」(主催・フジサンケイビジネスアイ、後援・文部科学省、経済産業省、フジテレビジョン、産経新聞社、ニッポン放送)の授賞式が31日、高円宮妃久子さまをお迎えし、東京・元赤坂の明治記念館で開かれた。 式典では、東京工業大学大学院の中濱正統(まさのり)さんに、学生部門のグランプリに相当する「文部科学大臣賞」の表彰状が授与された。 「革新的リチウムイオン二次電池による蓄電ソリューションの開発」に取り組んだNECの山崎伊紀子さんには、企業・産学部門の最高賞「経済産業大臣賞」の賞状が贈られた。 このほか、次世代材料や環境関連技術などに関する6件の研究についても顕彰した。 審査委員長を務めた科学技術振興機構顧問の阿部博之・東北大学名誉教授は「ここ数年は特定の学問領域に当てはめることができない、複合的な研究が目立っている。今年の企業・産学部門では、生活者の視点に立って、健康で快適な生活を送るための安心・安全をキーワードとした技術が多かった」と講評。そのうえで「世界が抱える問題を解決するためにも、科学技術の発展は必要不可欠。若い研究者が世界を舞台にさらに活躍することを祈念する」とエールを送った。 ■高円宮妃久子さまのお言葉本日、「第28回 独創性を拓く 先端技術大賞」の授賞式にあたり、皆様とご一緒できましたことを大変うれしく思います。この度受賞されました皆様、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。 今回も若い研究者の斬新な発想と、それを実現しようとする力強い信念、熱い心を強く感じました。最近、科学技術分野の研究開発の重要性が改めて見直される中で、既成概念にとらわれることなく、多角的な側面から果敢にチャレンジしていく柔軟な頭脳、独創性あふれる思考能力に感心いたしました。 また、人間社会に役立つ製品をさまざまな形で実現された研究者、開発者の創意工夫にも、心より敬意を表します。 科学技術がめざましい進歩を続ける現代において、日本の先端技術の研究開発は、世界でも高く評価されております。科学データや研究データは人類の財産であり、そのデータに基づいて次の発展・成長につながっていくことを考えれば、私たちにとって貴重な知的資源であるといえましょう。先端技術は国力そのものといっても過言ではなく、我が国を守り明るい将来を築くためにも、先端技術の研究開発は重要です。 戦後の私たちは安全で豊かに暮らす幸せを当たり前と考えがちですが、諸外国と日本との関係は、あらゆる角度からなる力関係に基づく友好関係であるという意識改革が必要だと思います。世界の国々との関係において、日本がどのように立場を確立していくか。その現実を理解し、刻一刻と変わる各国の動きと、それに連動する他国の動きをしっかりと見つめつつ、総合的に適切な判断が冷静にできるような国際的な人材を育成し、それに力を入れていくことが必要であろうかと思います。 また独創的な科学技術分野の研究開発の重要性は申すまでもありませんが、それを実用するとき、人間の資質が問われます。私たちは家庭教育の現場、そして社会において将来を背負って立つ若者をしっかりとした理念を持つ人間に育てていく責任があります。 ご出席の先生方、企業や新聞社の方々には将来を担う人材の育成とともに、そのような若者を育てる土壌としての国づくりに力を尽くしていただきたいと思います。 本日は科学技術の素晴らしさに改めて思いを致す機会をいただき、ありがとうございました。皆様の研究がさらに充実、発展していくことを心より願い、また今後のご活躍を祈念して表彰式に寄せる言葉といたします。
授賞式 「歴史に残るブレークスルー」期待授賞式では、東京工業大フロンティア研究機構応用セラミックス研究所の細野秀雄教授が講演。「『あっ』と驚くことは往々にして起こる。若い人には、産学の強い連携によって歴史に残るようなブレークスルーを果たしてほしい」と述べた。 授賞式に続いて開かれた記念レセプションには、約200人が出席。会場には各受賞者の成果を紹介したパネルが飾られ、高円宮妃久子さまは熱心に説明に耳を傾けられていた。 高円宮妃久子さまは、リチウムイオン二次電池関連の技術で経済産業大臣賞を受賞したNECの山崎伊紀子さんに、電池の原料について英語の名称を挙げて質問された。「リチウムイオンをリサイクルできるといいですね」とお言葉をかけられたという。 文部科学大臣賞を受賞した東京工業大学大学院の中濱正統さんが取り組むのは、温度が変わっても波長が変動しないレーザーの開発。医療分野での応用をひそかに考えていたが、久子さまも同様の見解を示されたという。 次世代型の超電導線材の開発でフジサンケイビジネスアイ賞を受賞した成蹊大学のメンバーは「将来的には医療の低コスト化につなげるとともに、社会インフラの領域まで踏み込んでいきたい」(三浦正志准教授)と意気込んでいた。 産経新聞社賞を受賞したNTTは、電話の音を一段とクリアにする技術。梅木毅伺(たけし)さんをはじめとするメンバーは「携帯電話の進歩はめざましく、実用化によってインフラを支えていきたい」と話した。 焼却飛灰から放射線セシウムを磁力で回収するシステムによって特別賞を受賞したDOWAエレクトロニクス。上山俊彦さんは「地方自治体と協力しながら汚染対策に尽力したい」と語っていた。 若手研究者からは「スマートフォン(高機能携帯電話)がより高性能で早く操作できることなどに役立てたい」(ニッポン放送賞の東大大学院・杉山一生さん)、「さらに独創的な研究を重ね、世の中のため病気治療などに役立てたい」(フジテレビジョン賞の東大大学院・井元祐太さん)といった声が相次いだ。
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