優れた研究成果を挙げた理工系学生や企業・研究機関などの若手研究者を表彰する「第２９回　独創性を拓く　先端技術大賞」（主催・フジサンケイビジネスアイ、後援・文部科学省、経済産業省、フジテレビジョン、産経新聞社、ニッポン放送）の授賞式が８日、高円宮妃久子さまをお迎えし、東京・元赤坂の明治記念館で開かれた。式典では、東京大学大学院の乗本裕明さんに学生部門のグランプリに相当する「文部科学大臣賞」の表彰状が授与された。

「独自のカルシウム素材を活用し、初期むし歯の再石灰化を証明」に取り組んだ江崎グリコの田中智子さんには、企業・産学部門の最高賞「経済産業大臣賞」の賞状が贈られた。このほか、次世代材料技術やネットワーク技術などに関する８件の研究も顕彰した。

審査委員長を務めた科学技術振興機構顧問の阿部博之・東北大名誉教授は「特定の学問領域に当てはめることができない、複合的な研究が目立っている。企業・産学部門では生活者の視点に立った安全・安心をキーワードにした技術が多くみられた」と講評。その上で「科学技術の発展は未来への夢を果たしてくれるだけではなく、世界が抱えている問題を解決し、持続可能な社会を創造するためにも必要不可欠。特に若い研究者が世界を舞台に、さらに活躍することを祈念する」とエールを送った。